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【デイリー No.1,922】IMFの世界経済見通し(2014年7月) ~来年に向け景気が加速する予想を維持~

2014年7月28日

<ポイント>
●IMFは、世界経済見通しを改訂し、2014年成長率見通しを▲0.3%引き下げ、+3.4%としました。
●景気は全般的に2014年4-6月期から回復するとし、2015年は+4.0%に据え置きました。
●一方、引き続き景気下振れリスクが残るとし、先進国の緩和的な金融政策の継続などを提言しました。

1.1-3月期の一時的な減速から、景気は回復方向

 IMFは4月に発表した世界経済見通しを改訂し、2014年の成長率を▲0.3%引き下げ、+3.4%としました。下方修正の主な背景としては、天候不順などによる米国景気の後退や中国の内需が予想以上に鈍化したことなどにより、1-3月期に世界経済が減速したことを挙げました。米中の需要低迷は、他の新興国の経済成長が力強さを欠く要因にもなったとしています。
 ただし、景気は全般に4-6月期から回復するとし、2015年の見通しは+4.0%に据え置きました。先進国で財政健全化ペースが緩められていること、緩和的な金融政策が維持されていること、米国の一時的な景気抑制要因が後退すること、中国政府が各種景気対策を実施することなどを要因として挙げました。

2.先進国、新興国ともに景気は加速

 日本については、1-3月期の景気が予想以上に強く、見通しを上方修正しました。一方、財政支出拡大による景気刺激効果の薄れる2015年には、成長率が低下するとしています。
 ユーロ圏の成長率については、ドイツが比較的高いものの、域内で財政や雇用などの状況が異なり、国ごとのばらつきが続く見込みです。中国は、政府の政策が下支えしながらも、経済成長率は持続可能なペースに落ち着いていく過程にあり、2015年に低下する見通しです。アセアンの見通しは、中国景気の下振れなどから2014年について下方修正されましたが、2015年は米欧など先進国で景気の力強さが増すと見込まれることなどから上方修正されました。

3.今後の見通し

 IMFは、世界経済が2015年に緩やかに加速すると見ています。一方、中東やウクライナなどで地政学的リスクが高まっており、原油価格が急騰するリスクを指摘しています。他にも、米国の金融政策正常化に伴う長期金利の急激な上昇、ユーロ圏の景気低迷の長期化、金融情勢が不安定化した場合の新興国市場からの投資資本の流出などを警戒要因として挙げ、世界的に景気下振れのリスクが残るとの見方を維持しました。
 IMFは、こうしたリスクを回避するため、先進国に対しては、引き続き緩和的な金融政策を続けるとともに、財政再建の必要な国でも、そのペースや内容を景気の動向を見極めながら調整すべきと提言しています。また、新興国に対しては、経済状況に応じた柔軟な為替政策や、インフレに対する中央銀行の信頼性向上への取り組みを提言しています。

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