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【デイリー No.1,778】IMFの世界経済見通し(2014年1月) ~2014年の見通しを上方修正~

2014年1月22日

<ポイント>
・IMFは世界経済の2014年の成長率見通しを+0.1%修正し+3.7%、2015年を修正なしの+3.9%としました。
・2014年の修正は、米国の財政協議合意の寄与や、日本の景気刺激策の反映などが主な要因です。
・世界経済は先進国の寄与も加わり成長が続きそうですが、各国の政策対応が不可欠であり、特に先進国の金融政策については、低インフレ環境などから緩和姿勢が続きそうです。

1.2014年の世界経済見通しを上方修正

 IMFは世界経済見通しについて、2014年の成長率を昨年10月時点の見通しから+0.1%修正し+3.7%、2015年を修正なしの+3.9%と発表しました。2014年については、日米などの先進国や、中国などの見通しを上方修正しました。

2.先進国を中心に見通しを上方修正

 先進国・地域については、主要国の多くを上方修正しました。米国は2014年の成長率を昨年10月時点の見通しから+0.2%修正し+2.8%としました。米与野党の財政合意により、財政が成長を抑制する影響が弱まるとしました。しかし合意内容が2015年の財政緊縮強化の見通しを含むため、同年を下方修正しました。日本は2014年の成長率を+0.4%修正し+1.7%としました。前回見通しには、消費税率引き上げの影響緩和のための5兆円規模の景気刺激策を反映していませんでしたが、今回はこれを反映しました。ユーロ圏は、景気後退からの脱却が続く見込みなどを反映し2014年、2015年ともに上方修正したものの、官民ともに負債水準がまだ高い影響などから、小幅な修正にとどまりました。
  2014年の新興国については、修正方向はまちまちとなりました。中国は景気が足元で、投資主導の底堅い回復を示していることなどから、上方修正しました。一方、その他の新興国については、内需の弱さや金融環境の悪化、政策の不透明さを指摘し、ブラジルやアセアンを下方修正しました。

3.今後の見通し

 IMFは今回、先進国・地域の成長加速を指摘しました。ただし先進国・地域の金融政策については、過剰な生産能力や低インフレから金融緩和姿勢の継続が必要としました。また先進国のリスクとして、インフレ率低下による実質金利の上昇を挙げ、経済の外的ショックが生じた際のデフレの可能性も指摘しました。特に景気回復が緩慢なユーロ圏については、追加金融緩和策の必要性を指摘しています。また、ユーロ圏の金融不安の抑制や信用拡大のために銀行同盟が必要としました。米国については、QE3縮小を決定したものの尚早な金融緩和策の解除は回避すべきとしました。また、QE3縮小などに伴い、新興国については、経常赤字の大きな一部の国で大きな資本流出が起きる可能性を示し、自国通貨安の容認の必要性などを指摘しました。
 世界経済は先進国の寄与も加わり成長が続くと見込まれますが、その前提には各国の政策対応が不可欠と思われます。特に先進国の金融政策については、米欧で総じて低インフレ環境が続いていることや、日本では円高抑制を意識した政策が見込まれることもあり、低金利政策などの金融緩和姿勢が当面続きそうです。

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