最近の欧州の指標とマーケット(2017年2月)
緩やかな景気回復が続く見込みだが、政治リスク等に注意 【デイリー】
2017年2月28日
【ポイント1】企業景況感は改善傾向

消費者物価も上昇基調
■2月のユーロ圏PMI(速報値)は一段と改善しており、製造業は55.5、非製造業も55.6に上昇しました。ユーロ安などによる好調な輸出や、ドイツなどの堅調な雇用環境が景気回復を支えています。
■また、景気回復に加え、エネルギー価格上昇などの影響でユーロ圏の消費者物価指数は上昇基調で推移しています。17年1月は前年同月比で+1.8%となり、欧州中央銀行(ECB)が物価安定の目途としている+2.0%に近づきました。
【ポイント2】金利は低水準だが、底入れ

政局不安や米国の動向などがリスク
■ECBによるマイナス金利政策や国債買取など緩和的な金融政策の影響などにより、ドイツの10年利回りは一時マイナスの領域に達するなど、ユーロ圏各国の長期金利は全般的に低水準で推移してきました。
■ただし、景気回復やインフレ率の上昇、米国債利回り上昇の影響などから、ドイツの国債利回りなども2016年10月以降は緩やかながら上昇に転じました(2017年2月は再び低下)。
■相対的に高利回り債券は投資家需要が強く、社債は堅調でしたが、イタリアなど政治不安などを抱える国の国債は足元で対ドイツ国債の利回り差が拡大しています。
【今後の展開】当面は金融緩和が続く見込みだが、政治リスクや米国の動きに警戒
■ECBは、景気やインフレ、政治不安などを抱える国の状況、あるいは米国の新政権の動きなどを注視しながら、当面は現状の金融緩和的な姿勢を続ける見通しです。このような環境下で、ユーロ圏各国の長期金利は低水準に止まる見通しです。
■しかし、景気回復やインフレ上昇、米国で財政拡大や利上げの継続が見込まれるなか、ECBの金融緩和姿勢は徐々に緩み、緩やかながらもドイツなどユーロ圏の国債利回りは上昇する見通しです。