BOEの金融政策(2017年2月)
物価上昇率が高まるも、当面は様子見姿勢継続か 【デイリー】
2017年2月3日
【ポイント1】金融政策は現状維持

政策金利、量的緩和規模とも維持
■イングランド銀行(BOE、イギリスの中央銀行)は、2日の金融政策委員会で、政策金利を0.25%に据え置きました。また、国債などの資産を買い取る量的緩和の規模は4,350億ポンド、別途の社債購入枠は100億ポンドをそれぞれ維持しました。今回の決定は市場の予想通りでした。
【ポイント2】失業率は低水準で推移

物価は2018年前半にかけて上昇
■英国の11月の失業率は4.8%と、歴史的に見てかなりの低水準ですが、BOEは労働力の供給が想定よりもやや強いことから、賃金の上昇圧力は抑制されると見ています。
■英国の12月の消費者物価指数は前年同月比+1.6%と、前月の同+1.2%から一段と上昇しました。BOEは、今後も通貨ポンド安の影響により、2018年前半には2.8%程度まで上昇すると見ています。その後は、ポンド安の影響が剥落することから、徐々にBOEの目標水準である2%に近づくと見ています。
【今後の展開】成長見通しを上方修正
■BOEは、2017年の実質GDP成長率の見通しを前年比+2.0%へと、+0.6%ポイント上方修正しました。この理由として、昨秋の政府予算方針や足元の底堅い世界景気などが挙げられています。このように、2017年は景気の堅調な推移とBOEの目標を上回る物価上昇が見込まれます。ただし中長期的には、賃金の上昇圧力が抑制されると見込まれることやポンド安の影響が剥落すると見られることから、インフレ率が徐々にBOEの目標水準に向けて落ち着くため、BOEは当面現在の金融政策を維持すると考えられます。