最近の指標から見る欧州経済(2015年6月) 景気の緩やかな回復が持続【デイリー】
2015年6月24日
【ポイント1】景気は緩やかに回復
1-3月期GDPは前期比+0.4%
■ユーロ圏の6月の製造業PMI(購買担当者景況感指数)は52.5と前月から上昇し、24カ月連続し好悪の境目である50を上回りました。4月の鉱工業生産指数は前月比+0.1%と、市場予想を下回ったものの、3月の同▲0.4%から改善し、緩やかな回復を辿っています。
■6月のサービス業PMIは54.4と前月から上昇しました。4月の小売売上高は前月比+0.7%と、振れを伴いつつも上昇傾向です。
■製造業の回復から雇用や所得環境が改善し、GDP成長率も上向いています。

【ポイント2】デフレ懸念は後退
ECBの金融緩和は来年9月まで継続
■5月の消費者物価指数は前年同月比+0.3%と今年1月の同▲0.6%を直近の底として上昇しています。ユーロ安から食料品価格などが上昇し、原油安の影響も和らいできたことが要因です。デフレ懸念は後退しています。
■欧州中央銀行(ECB)による強力な金融緩和が景気や物価が上向いてきたことの背景です。ECBは、2%近くとする物価目標の達成が見通せるまで、現行の月600億ユーロの資産購入を継続する方針です。

【今後の展開】金融緩和の継続により、景気の緩やかな改善持続
■ユーロ圏の景気は、ユーロ安による輸出回復から、製造業の活動が上向き、雇用や所得の回復を通じてサービス業の活動が高水準を維持するという、経済の好循環が緩やかながらも始まったようです。企業向け貸出も上向き始め、設備投資の回復による持続的な成長が期待されます。
■ギリシャは仮に欧州連合(EU)などから資金支援を得られても、財政緊縮と経済の立て直しの両立は容易ではなく、今後も景気と市場のリスク要因となりそうです。しかし、今回は欧州安定メカニズム(ESM)やECBによる国債買い入れプログラム(OMT)が整備され、他のユーロ加盟国への波及リスクは抑制されていると見られます。