ユーロ圏の金融政策(2015年3月) 3月9日から国債などの購入を開始【デイリー】
2015年3月6日
【ポイント1】月額600億ユーロ購入
政策金利は据え置き
■欧州中央銀行(ECB)は5日、政策金利、預金金利を、それぞれ0.05%、マイナス0.20%に据え置くことを決定しました。また、月600億ユーロの国債などの購入を3月9日から開始するなどの詳細を公表しました。
■ドラギECB総裁は、現行のマイナス0.20%の預金金利までのマイナスの利回りとなった国債も購入する旨発言しました。購入規模の大きさが意識され、ユーロは対米ドルで下落、欧州株式は上昇、ドイツ国債の利回りは低下しました。
■総裁は、ギリシャ問題に関して一定の距離を置くものの、「本日緊急流動性支援(ELA)を5億ユーロ増額し」、また「条件を満たせば、ギリシャ国債は購入対象となる」と発言しました。

【ポイント2】景気見通しを上方修正
物価は年後半から徐々に上昇
■ECBは原油価格の反発、ユーロ安、量的緩和効果から、政策判断の材料となるGDP成長率見通しを上方修正する一方、今年の物価上昇率見通しを0.0%に下方修正しました。しかし、今年の後半から、景気回復の強まりとともに、徐々に上昇すると予想しています。

【今後の展開】物価目標達成に向け、さらに金融緩和拡充の可能性も
■現行の規模での金融緩和が2016年9月まで続くことを織り込んでも、ECBの2016年の消費者物価の前年比上昇率の予想は1.5%にとどまっています。必要に応じて現行の金融緩和策を強化・継続するとの総裁発言もあり、物価見通しが下振れた場合や、毎月の購入額が600億ユーロに届かなった場合などには、緩和拡充が期待されます。
■為替市場では、米ドルに対するユーロ安が見込まれます。円に対しては、日銀の強力な金融緩和などから、方向感が出にくいと見られます。
■債券市場では、金融緩和が長期化し、国債利回りは低位で推移するという見方が強まっています。
■株式市場では、金融緩和効果により、総じて堅調な展開が続くと予想されます。