ユーロ圏の金融政策(2014年12月) 来年1-3月期に追加金融緩和を実施へ【デイリー】
2014年12月5日
【ポイント1】来年1-3月期に追加緩和へ
1兆ユーロの金融緩和に強い意欲
■欧州中央銀行(ECB)は4日、政策金利、預金金利を、それぞれ0.05%、マイナス0.20%に据え置くことを決定しました。また、声明文では、来年1-3月期に2016年6月まで1兆ユーロ拡大する緩和目標の進み具合を検証するとしました。それを踏まえて、購入資産の拡大など追加の金融緩和が実施される見込みです。
■今回の理事会に先立ち、ドラギ総裁などが金融緩和の拡大に前向きな発言をしていたことから、何らかの追加措置を織り込んでいた市場では株価は下落し、国債利回りは上昇し、ユーロはドルに対して一時的に買い戻されました。

【ポイント2】経済見通しを下方修正
物価目標の達成が一段と遠のく
■設備投資などの回復の遅れや原油価格の下落を反映し、政策判断の材料となるGDP成長率と物価上昇率見通しが下方修正されました。
■ECBは物価上昇率目標を2%近くに置いているため、今回の改定により物価上昇率目標の達成がさらに厳しくなりました。また、今回の物価上昇率見通しには足元の原油価格の下落が十分に織り込まれていないため、現行の非伝統的な金融緩和の強化が期待されています。

【今後の展開】追加緩和の期待が高まり、ユーロは対ドルで下落へ
■12月第2週には二回目の長期リファイナンスオペ(TLTRO)が実施される予定であり、この効果を見極めてから、追加の金融緩和を検討するとみられます。今回の入札結果などを踏まえて、1兆ユーロの金融緩和の達成に向けた社債や国債への購入対象の拡大が、1月22日か3月5日の理事会で検討されるとみられます。
■債券市場では、市場の物価上昇率見通しとECBの目標との乖離が大きく、金融緩和が長期化し、国債利回りは低位で推移するという見方が強まっています。
■為替市場では、ドルに対してはユーロ安が見込まれますが、日銀の強力な金融緩和などから、対円では方向感が出にくいとみられます。