【デイリー No.1,916】南アフリカの金融政策(7月) ~政策金利を引き上げ~
2014年7月18日
<ポイント>
●南アフリカ準備銀行(中央銀行、以下中銀)は15日~17日に金融政策委員会を開催し、政策金利(レポ金利)を0.25%引き上げ、5.75%とすることを決定しました。利上げは今年1月以来、3会合ぶりです。
●中銀は物価の高止まりを警戒する一方、脆弱な景気動向などにも配慮し、緩やかな金融引き締め姿勢を当面維持すると見込まれます。
1.政策委員の間で意見が分かれる
今回の決定では、7名の政策委員のうち1名が政策金利の据え置きを主張、1名が0.50%の引き上げを主張し、意見が分かれました。ブルームバーグの事前調査でもエコノミストの見方は分かれ、30名のうち15名が政策金利の据え置きを、8名が0.50%の利上げを、7名が0.25%の利上げを予想していました。

2.物価上昇を懸念する一方、景気にも配慮
利上げを決定した主な背景には、消費者物価指数が5月に前年同月比+6.6%となり、物価目標レンジ(同+3.0%~+6.0%)の上限を上回っていることへの懸念があったと見られます。ただし、1-3月期の実質GDP成長率が前期比年率▲0.6%になったことなどから、景気へも配慮し、利上げを小幅にとどめたと見られます。
3.今後の見通し
中銀は消費者物価指数について、2014年(平均)の予想を前年比+6.3%(前回は同+6.2%)、2015年を同+5.9%(前回は同+5.8%)としました。また、過去の南アフリカランド安が影響することなどから、物価が予想よりも上振れするリスクは高まったとしています。一方、実質GDP成長率については、2014年の予想を前年比+1.7%(前回は同+2.1%)、2015年を同+2.9%(前回は同+3.1%)とし、それぞれ前回の予想から引き下げました。
物価が中長期的に高止まりすることへの警戒などから、中銀は現在の金融引き締め姿勢を当面維持すると見込まれます。一方、脆弱な景気動向などにも配慮し、利上げを慎重に検討すると思われます。次回会合は9月16日~18日に予定されています。
政策金利が他国と比較して高い水準にあることは、ランドの支援材料です。一方、足元では金属労組がストライキを実施しており、自動車生産に支障が出ているとの報道が見られるなど、景気には下振れリスクが残ります。こうしたことから、ランドは方向感のない展開になりそうです。
