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【デイリー No.1,795】ユーロ圏の金融政策(2月) ~政策金利を据え置き、市場は3月会合に注目~

2014年2月7日

<ポイント>
・欧州中央銀行(ECB)は政策金利を過去最低の0.25%に据え置くなど、緩和的な金融政策を維持しました。
・ECBは追加緩和策は見送ったものの、物価上昇率の鈍化を注視しており、3月の経済見通しを待つ姿勢です。
・小幅な利下げなどの追加策が有るか、市場では物価の最新動向や3月会合への注目が高まりました。

1.政策金利を据え置き、足元の物価上昇率は鈍化

 ECBは6日、政策金利(主要リファイナンスオペ適用金利)を過去最低の0.25%に据え置くことを決定しました。11月会合での0.25%の利下げ以降、3会合連続の据え置きです。また、限界貸出金利(上限金利)も同様に0.75%、預金ファシリティ金利(下限金利)も現行の0.0%で据え置きました。
 一方、市場では1月の消費者物価上昇率が前年同月比+0.7%に鈍化した(12月は同+0.8%)ことを受け、ECBが一段の金融緩和に踏み切るとの見方も浮上していました。

2.緩和的な金融政策を継続することを強調

 ドラギ総裁は会見で「行動しないことを決めた理由は状況の複雑さと更なる情報の必要性のため」としました。
 3月にはECBスタッフが経済見通しを発表する予定であり、この次回予測では新たに2016年までの見通しが加えられます。総裁発言を受け、3月会合は何らかの追加緩和策が講じられる可能性があるとして、市場の注目が高まりました。
 また、ECBは景気判断については、前月までのものをほぼ踏襲し、緩やかな回復が続くとしました。金融緩和や資金調達環境の好転などによる内需の持ち直しと外需の回復が、ともにユーロ圏の成長を支えるとの見方です。中長期での物価上昇率も「2%未満でこれをやや下回る水準」に持ち直していくとの見解が維持されましたが、その一方で、中期にわたって物価上昇率が低めに抑えられる兆候があるとの警戒感もあわせて示されました。

3.今後の見通し

 ECBが目先で警戒するのは、緩やかな景気回復ペースが物価の鈍化で一段と抑えられることと見られます。ユーロ圏では失業率が12%前後で高止まりしていることに加え、昨年後半からは物価の低調さがエネルギー・食品を除いたコア部分へも波及しています。市場はこれらを踏まえ、小幅な利下げなどが有るか否か、物価の最新動向に注目しそうです。
 中長期ではユーロ圏が緩やかな景気回復局面にあることには、変わりありません。ECBは政策金利を今後も現行またはそれ以下の水準で留めると言及するフォワード・ガイダンスを続けるほか、景気の下振れリスクがなお存在するとして金融緩和姿勢を維持し、金利上昇をけん制すると見られます。また、ECBが従来から強調するように、ユーロ圏は物価が下落するデフレには至っておらず、物価上昇ペースは景気回復基調に沿って次第に持ち直しそうです。
 欧州の株式市場では、景気と資金調達環境の緩やかな回復に加え、企業の財務状況や国の財政などの構造調整が進むなか、株価は業績見通しに沿った底堅い展開が見込まれます。債券市場では、景気回復局面のなか、すでに買われて金利低下の進んだドイツ国債などの上値は抑えられやすい一方、信用が回復基調にある周辺国の債券への需要は高まっています。総じて、欧州の債券市場は底堅く推移しそうです。為替市場では、ユーロ圏が景気・信用の回復局面であることや多額の経常黒字に加え、日本の金融緩和姿勢や経常赤字基調などもあり、緩やかなユーロ高・円安傾向が続きそうです。

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