ホームマーケット日々のマーケットレポート【デイリー No.1,788】南アフリカの金融政策(1月) ~予想外の政策金利引き上げ~/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【デイリー No.1,788】南アフリカの金融政策(1月) ~予想外の政策金利引き上げ~

2014年1月30日

<ポイント>
●南アフリカ準備銀行(中央銀行、以下中銀)は29日、政策金利(レポ金利)を0.5%引き上げ、5.5%とすることを決定しました。南アフリカランドの大幅な下落による物価上昇圧力への警戒が利上げの背景です。
●中銀は利上げを決定しながらも、「金融政策は依然緩和的」として景気にも配慮しています。今後も、経済指標、海外中銀の金融政策、為替市場の動きなどを慎重に見極めながら、政策を決定すると思われます。

1.約1年半にわたり据え置いた低水準から利上げ

 中銀は、2012年7月に政策金利を引き下げて以降約1年半にわたり低水準で据え置いていました。今回の引き上げは2008年6月以来、約5年半ぶりです。ブルームバーグがまとめた事前予想では25名のエコノミスト全員が据え置きを予想しており、引き上げは予想外の決定となりました。

2.大幅なランド安による物価上昇圧力を警戒

 ランドの大幅な下落による物価上昇圧力への警戒が利上げの背景です。中銀は今回、消費者物価指数の上昇率の予想を2014年は前年比平均+6.3%、2015年は同+6.0%と、前回昨年11月の予想からいずれも0.6%ずつ上方修正しました。加えて、上昇率が目標レンジ(同+3.0%~+6.0%)を相当期間上回る可能性や、さらに上ぶれする可能性も指摘しました。
 足元では、アルゼンチンペソの大幅な下落の影響などを受けて新興国通貨が急落し、不安定な動きが続いています。中銀は、米国のQE3の縮小などにより投資資金が南アフリカなどの新興国から流出することを警戒し、利上げによりランド安を抑える狙いと見られます。
 利上げの影響や、中国など新興国の景気に減速の兆候が見られることなどから景気の先行き不透明感は強まっています。中銀は利上げを決定しながらも、「金融政策は依然緩和的」として景気にも配慮しています。

3.今後の市場見通し

 中銀は、今後の金融政策は経済指標などのデータを見ながら慎重に決定する方針です。次回の金融政策委員会は3月25日~27日に開催される予定であり、物価上昇率の上ぶれと経済成長率の下ぶれの両方が懸念されるなか、海外中銀の金融政策の動向や為替市場の動きなども慎重に見極めながら政策を決定すると思われます。
 景気の先行き不透明感、米国のQE3の縮小、新興国経済を巡る不安心理などにより、ランドは今後も不安定な動きが続きそうです。また、南アフリカは経常収支の赤字が大きいことから、投資資金の不安定な動きには今後とも注意が必要です。