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【デイリー No.1,770】ユーロ圏の金融政策(1月) ~2会合連続で政策金利を据え置き~

2014年1月10日

<ポイント>
●欧州中央銀行(ECB)は政策金利を過去最低の0.25%に据え置くなど、緩和的な金融政策を維持しました。
●ECBは、必要な限り緩和的な金融政策を継続することを強調しました。
●当面は追加の金融緩和策が発表される可能性は低そうですが、インフレ率の低下や短期市場金利の上昇により追加の金融緩和策が必要となるリスクには注意が必要です。

1.2会合連続で政策金利を据え置き

 ECBは9日の定例理事会において、政策金利(主要リファイナンスオペ(MRO)適用金利)を過去最低の0.25%に据え置くことを決定しました。政策金利は11月の理事会で0.50%から0.25%へと引き下げられて以降、2会合連続で据え置きとなりました。また、限界貸出金利(上限金利)も同様に0.75%、預金ファシリティ金利(下限金利)も現行の0.0%で据え置きました。事前の市場予想(ブルームバーグ集計)においても、政策金利が据え置かれるとの見方が大勢でした。

2.緩和的な金融政策を継続することを強調

 ECBは、必要な限り緩和的な金融政策を継続することを強調し、政策金利を現行水準かそれを下回る水準とする見通し(いわゆるフォワードガイダンス)を維持しました。
 景気判断については、緩やかな回復が続くとの見方を維持しました。2014年から2015年にかけて、緩和的な金融政策を背景とした内需の改善により生産が緩やかに回復するとしました。加えて、輸出の段階的な回復がユーロ圏の経済にプラス寄与するとの見方も示しました。一方で、ユーロ圏の経済にはダウンサイドリスクが存在するとの見方も維持しました。ダウンサイドリスクの主因として、グローバル金融市場の動向や商品価格の上昇、ユーロ圏諸国における構造改革の遅れなどを挙げました。
 インフレ率については、12月が前年同月比+0.8%と、11月の同+0.9%から低下したものの、ドイツのサービス価格の季節調整の影響が要因と判断しており、一時的な低下であるとしました。中長期的なインフレ率の見通しは、「2%以下で2%に近い水準」とし、これまでと変化はありませんでした。

3.今後の見通し

 今回のECBの決定は市場予想に沿ったものであったため、金融市場への影響は限定的でした。ユーロ圏では、12月の製造業PMIが52.7ポイントと、3カ月連続で上昇するなど景況感が改善傾向にあります。特に、ユーロ圏の経済をけん引するドイツでは、11月の製造業受注が前月比+2.1%と、市場予想(ブルームバーグ集計)の同+1.5%を上回るなど、景気の回復に少しずつ勢いが出てきました。2014年のユーロ圏の経済は、ドイツを中心とした域内の内需や、米国向け輸出を中心とした外需が成長のドライバーとなり、緩やかな回復が続くと見込まれます。
 ユーロ圏の主要経済指標が景気の緩やかな回復を示唆していることから、ECBは短期的に追加の金融緩和策を発表する必要性に迫られている状況ではないと見られます。ただし、世界景気の腰折れなどを背景としたインフレ率の更なる低下や、南欧諸国の債務問題に対処するために実施した3年もの長期流動性供給オペ(LTRO)の返済再開による流動性低下で短期金利の急上昇などが見られる場合、追加の金融緩和策を実施する可能性があります。