中国が預金準備率を引き下げ【デイリー】
2016年3月1日
【ポイント1】約4カ月ぶりの金融緩和
景気の下振れに対処
■中国人民銀行(中央銀行)は2月29日、預金準備率を引き下げると発表しました。大手行の場合、3月1日から0.5%引き下げられ、17.0%が適用されます。昨年10月の預金・貸出基準金利と預金準備率の同時引き下げ以来の金融緩和です。
■預金準備率の引き下げは、金融機関の融資余力を高め、中小企業の資金繰りを支援する効果があります。足元で景気の下振れ圧力が高まっていることに対応した措置と見られます。金融緩和は、一方では人民元安の要因ともなりますが、景気の下支えを優先させたと見られます。

【ポイント2】世界経済の減速に歯止め
G20議長国として率先して行動
■中国は、2月26日~27日に自国で開催した、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、「(世界経済の減速を阻止するために)すべての政策手段を用いる」との共同声明を議長国としてまとめました。不安の連鎖に歯止めをかけ、金融市場の安定化に率先して動き、リーダーシップを発揮する狙いもあったと見られます。

【今後の展開】金融・財政政策の積極方針で、年後半景気は持ち直しへ
■5日から今年の政策目標を決める全人代(全国人民代表大会)が始まる予定です。政府は、6.5%~7.0%の経済成長率目標を決定すると見られます。一方、過剰生産能力を削減する構造改革の推進を、今期の5カ年計画の柱に据えることも決定し、成長と構造改革の両立を目指す方針です。
■全人代では目標達成のために、金融と財政で景気を積極的に支える方針が採用されそうです。政策金利の引き下げを含む追加緩和や、財政赤字の拡大を容認し、成長産業やハイテク製造業の支援、業界再編などが進められる見通しです。中国の景気はこうした政策対応によって、年後半に持ち直すことが期待されます。