資源価格の動向 原油は産油国の減産、銅は中国の景気がカギ【デイリー】
2016年2月19日
【ポイント1】原油は30ドル前後で推移
当面供給過剰が続きそう
■原油価格(WTI)は年明け後も下落傾向となり、1バレルあたり30ドル前後と約13年ぶりの安値水準で推移しています。世界景気や産油国の協調に不透明感が強まり、需給見通しの悪化につながっていることが背景です。
■価格の大幅下落により北米で急増したシェールオイルの生産は減少し始めていますが、中東などの産油国では石油収入を増産でカバーする動きが見られるうえ、今後はイランの原油輸出再開が予想されるなど供給過剰の状態が継続すると思われます。

【ポイント2】非鉄市況も軒並み安
ただし銅の在庫は減少傾向に
■銅価格も下落しており、2011年のトン当たり1万ドル超の水準から、現在は半値以下の4,500ドル前後の水準で取引されています。銅以外の非鉄金属も軒並み価格は下落してます。
■需給に関しては、生産面では高コスト鉱山の閉鎖や減産が進んできました。一方、需要は伸び率は鈍化していますが緩やかに増加しており、需給バランスは改善してきました。このため在庫は2015年夏以降減少傾向にあります。

【今後の展開】原油は産油国の減産動向に注目、銅は中国の景気動向がカギ
■原油については、一般に30ドル程度の価格では採算割れの油田が出て、生産量の維持は不能と言われています。短期的な需給改善には産油国の減産が不可欠と思われます。
■既にOPEC(石油輸出国機構)とロシアなどが、協調減産を模索する動きが見られます。OPECで最大の生産量を有するサウジアラビアの動向がカギを握ると見られます。
■銅に関しては、需給は既に改善方向にあるため、世界需要の約4割を占める中国の景気動向が市況のポイントになりそうです。