中国は追加金融緩和と預金金利の自由化を発表【デイリー】
2015年10月26日
【ポイント1】政策金利と預金準備率を同時に引き下げ
預金金利の自由化も発表
■中国人民銀行(中央銀行)は23日、政策金利と預金準備率をともに引き下げると発表しました。政策金利である貸出基準金利(期間1年)は0.25%引き下げ4.35%とし、預金準備率は0.50%引き下げ、一部の大手行向けを17.0%としました。
■また、預金金利はこれまで基準金利の1.5倍を上限としていましたが、これを撤廃し金利を自由化しました。ただし、中央銀行が市場金利を誘導する仕組みの定着には時間がかかるとし、これまで通り預金基準金利の公表を継続し、今回は0.25%引き下げて1.50%としました。

【ポイント2】投資減速に対応
物価上昇率低下も背景
■中国人民銀行は声明で、国際的な商品価格の下落や国内の投資減速に対応し、流動性を潤沢に供給するとしました。9月の消費者物価上昇率が低下し、利下げがやりやすくなったことも今回の利下げを後押ししました。

【今後の展開】公共投資強化やさらなる金融緩和による景気下支えを期待
■中国は人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)に採用されることを目指し、預金金利の自由化などを進めています。8月のSDR見直しでは、貿易量基準では要件を満たしたものの、取引自由度の基準で結論が先送りされていました。SDR採用の狙いは、人民元の国際的なプレゼンス向上や人民元建て決済拡大による貿易や金融取引の促進です。
■景気減速に対処するため、景気刺激策の強化が今後も見込まれます。次期5カ年計画でサービス業を中心とした経済構造への転換を促進するため、公共投資や規制緩和の拡充が一層見込まれます。企業の資金調達環境の改善のため、さらなる追加金融緩和も期待されます。