最近の指標から見る中国経済(2015年5月) 景気減速から、追加金融緩和へ【デイリー】
2015年5月21日
【ポイント1】4月以降も景気は減速
製造業、非製造業ともに減速
■4月の製造業PMI(購買担当者景況感指数)は50.1と3月から横ばいでした。4月の生産は年初来累計ベースで前年同期比+6.2%の増加と、3月の同+6.4%の伸びを下回りました。
■4月の非製造業PMIは53.4と3月から低下しました。4月の小売売上高は、年初来累計ベースで前年同期比+10.4%と3月の同+10.6%から鈍化し、景気減速が4月以降も継続しています。

【ポイント2】物価は低位で落ち着く
内需減速からデフレ懸念強まる
■物価は低位で落ち着いており、2015年の目標である前年比+3%前後を下回って推移しています。
■しかし、内需減速から、足元で生産者物価の前年比の下落幅が拡大傾向にあり、デフレ懸念が強まっています。

【今後の展開】追加金融緩和などにより、成長目標達成が期待される
■政府・中国人民銀行(中央銀行)は、 4月19日に今年2回目の預金準備率を引き下げ、5月10日に昨年11月以降で3回目となる政策金利の引き下げを行い、景気テコ入れを図っています。
■政府は経済構造の転換を目指していることから、これまでのような大規模な財政出動を避け、金融緩和と、規制緩和などによる産業政策に景気対策の重点を置いています。今後、追加金融緩和に加え、ITの活用などによる先端産業の育成強化、輸出やインフラ投資の拡大を目指す「一帯一路」や自由貿易試験区の推進が見込まれます。これらにより、7%前後の成長目標の達成が期待されます。