中国、政策金利を引き下げ景気下支え【デイリー】
2015年5月11日
【ポイント1】預貸金利ともに0.25%引き下げ
昨年11月以降3回目の引き下げ
■中国人民銀行(中央銀行、以下、人民銀)は10日、政策金利である預金と貸出の基準金利(期間1年)をともに0.25%引き下げ、それぞれ、2.25%、5.10%とすると発表しました。
■また、預金金利の上限を、従来の基準金利の1.3倍から1.5倍に拡大しました。銀行が決められる預金金利の幅を拡大し、金利の自由化を進めました。

【ポイント2】景気下振れに対応
株式市場は金融緩和を好感
■今回の利下げは、昨年11月以降で3回目となり、4月19日の預金準備率の引き下げに続く金融緩和措置です。企業の資金コスト軽減などにより、景気の下支えを狙ったと見られます。
■4月30日に開催された中国共産党政治局会議では、景気下振れ圧力に対処するため、的を絞った経済調整を強化する方針が表明されていました。今回の金融緩和は、大方の市場の期待に沿う内容であったと見られます。
■政策金利引き下げ発表後最初の取引となる11日、上海総合株式指数は前日比+3.0%、香港のH株指数は同+1.0%上昇しています(日本時間16:25時点)。

【今後の展開】景気テコ入れのため、追加の金融緩和策などが引き続き期待される
■今回の貸出金利の引き下げによる住宅ローン金利の低下は、3月後半以降テコ入れを図っている住宅市場の回復を後押しすると見込まれます。
■また、5月1日から、預金保険制度が導入されました。政府は、金融の自由化を進める方針で、金融制度の改革が今後も進み、金融システムの効率化が図られると期待されます。
■足元で公表された経済指標は、景気減速が4月以降も継続していることを示唆しています。政府は、構造改革を進めながら、今年は7%前後の成長を目指す方針です。これまでの非効率的な経済構造を改革しながら安定成長を目指す政府は、金融、財政政策の追加策を発動することが期待されます。