最近の指標から見る中国経済(2015年1月) 2014年のGDP成長率は7.4%に鈍化【デイリー】
2015年1月22日
【ポイント1】前年の7.7%から7.4%に鈍化
消費と投資が伸び悩む
■2014年10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+7.3%、2014年通年では前年比+7.4%となりました。政府の「7.5%前後」の目標は達成されたものの、2013年の+7.7%から鈍化しました。
■成長率の鈍化は消費や投資などの内需の減速によるものです。個人消費の動向を示す社会商品小売額、投資動向を示す固定資産投資(農村部を除く)は、2014年でそれぞれ前年比+12.0%、同+15.7%と、2013年の同+13.1%、同+19.6%を下回りました。

【ポイント2】サービス業は平均を上回る成長率
鉱工業や不動産の成長率は抑制
■GDP成長率を業種別に見ると、鉱工業や不動産など、政府が投資を抑制する業種は全体の成長率を下回りました。一方、政府が振興を後押しする金融、商業などのサービス産業は全体の成長率を上回りました。
■第12次五カ年計画では、産業の高度化推進、サービス業の振興を目標に掲げており、経済は政府の方針に沿った成長をしていると見られます。

【今後の展開】構造改革推進のために、機動的な財政・金融政策による景気刺激へ
■政府は今後、2015年の目標、ならびに、2016年から始まる新たな五カ年計画を立案する予定です。これまでの高成長とは異なる、経済の構造改革と両立する「新常態」を目指す方針と見られます。成長率目標は7.0%前後に引き下げて、過剰な生産能力の削減や過熱しやすい不動産市場の投資抑制に引き続き力を入れると見られます。
■中国が抱える問題には、投資の過熱以外にも、地方政府の債務やシャドーバンキングなどがあります。中央銀行である人民銀行は昨年11月に、投資抑制策などによって、小規模企業の資金繰りに支障をきたさぬよう、貸出の基準金利などを引き下げました。今後も、経済構造の改革に伴う下押し圧力を和らげるため、小規模ながらも機動的な財政・金融政策により、景気刺激策を講じる方針と見込まれます。