中国の金融政策(2014年11月) 内需減速に機動的に対応する姿勢に転換【デイリー】
2014年11月25日
【ポイント1】予想外の政策金利引き下げ
貸出金利は5.6%へ
■中国人民銀行(中央銀行、以下、人民銀)は21日、およそ2年4カ月ぶりに銀行の預金と貸出の基準金利の引き下げを決定しました。預金金利(期間1年)は0.25%引き下げ2.75%に、貸出金利(同)は0.4%引き下げ、5.6%としました。貸出金利の引き下げ幅は預金金利を上回りました。
■また、預金金利の上限を従来の基準金利の1.1倍から1.2倍に拡大しました。銀行の決められる預金金利の幅を拡大し、金利の自由化を進めました。

【ポイント2】中小企業に配慮した利下げ
緩和への転換でなく金利の中立化
■人民銀は声明で、「中小零細企業の資金調達コストが高止まりしている問題を解決することが、安定成長にとって重要」と指摘しました。7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+7.3%に減速したほか、鉱工業生産や小売売上高も減速傾向にあり、金利の引き下げで国内景気のテコ入れを狙ったものと見られます。
■ただし、今回の措置は「中立化」を意図したもので、金融緩和に踏み切ったものでないとも指摘しました。不動産市場の投機的な動きが加速することをけん制したものと見られます。

【今後の展開】内需の減速に機動的に対応、追加の刺激策への期待が高まる
■今回の利下げは投資家に好感され、上海総合指数は11月24日に前日比+1.9%上昇しました。これまで、利下げは人民銀が緩和的な金融政策スタンスであることを示すシグナルと受け止められ、景気減速には機動的に対応することが難しいと思われていました。しかし、今回は利下げの目的を中小零細企業対策と明確化し、今後の機動的な金利変更を可能にする意図があったと見られます。
■主要都市では住宅価格が落ち着き始めていたことから、不動産取引の抑制策の緩和を求める気運も高まっていました。今回の利下げにより、金融面での機動的な政策対応を当局が見せたことから、来年の経済成長目標を設定するにあたって、経済・産業政策面でも小規模の追加経済刺激策への期待が高まると見られます。