【デイリー No.1,846】中国のGDP成長率(1-3月期) ~成長鈍化で景気刺激策の前倒しや拡充に期待~
2014年4月16日
<ポイント>
・1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+7.4%、前期比+1.4%となり、特に前期比での鈍化が目立ちました。
・今回の発表に先がけて、鉄道開発へのテコ入れなどを含む景気刺激策を行う方針が発表されています。
・景気刺激策の前倒しや拡充が期待されるほか、外需も追い風となり、景気や株価は緩やかに持ち直しそうです。
1.3月からすでに景気刺激策への期待が浮上
2013年通年の実質GDP成長率は+7.7%と高めであったものの、今年1-2月の経済指標は市場の想定以上に弱含んでいました。
中国政府は2014年の成長目標を「+7.5%前後」と設定したものの、1-3月期の段階で目標を下回る可能性が高まっていたため、3月ごろからすでに景気刺激策への期待が浮上していました。

2.成長鈍化で景気刺激策の前倒しや拡充にも期待
中国国家統計局が16日に発表した1-3月期の実質GDP成長率は、前年同期比+7.4%と、市場予想の同+7.3%(ブルームバーグ集計)を上回りました。この水準は政府目標と大きく離れていないものの、前期比では+1.4%と、8四半期ぶりの低水準となりました。
内容的には、固定資産投資(1-3月累計、農村部除く)が前年同期比+17.6%と、2002年12月以来の低水準となりました。また、先行きの参考となる新規着工計画も同+12.6%と、伸びが一段と鈍化しています。
政府は今回の発表に先がけ、今月2日に鉄道開発のテコ入れなどを盛り込んだ景気刺激策を発表していました。今回の結果を受け、市場では刺激策の前倒し、拡充への期待が高まりました。

3.今後の見通し
3月単月の経済指標を見ると、鉱工業生産、小売売上高の伸びが底を打つなど、好材料も見られます。製造業関連の企業景況感もすでに下げ止まっているほか、今後は景気刺激策の実施も見込まれ、景気持ち直しが期待されます。
また、1-3月期の一人当たり賃金(物価調整後)は農村部で前年同期比+10.1%(2013年通年は+9.3%)、都市部で同+7.2%(同じく+7.0%)となりました。消費者の購買力は一段と向上しており、内陸部の都市化、サービス業の成熟化など、中長期の成長テーマも引き続き中国景気を下支えしそうです。
2014年半ばにかけては、景気刺激策の実施時期や拡充の有無などが注目されます。製造業関連の企業では在庫が積みあがっていないと見られ、景気回復を先取りしようとする動きも想定されます。加えて、春先からは米国の需要が寒波の影響から回復してくると思われるほか、このところ人民元が対米ドルで一旦下落したことも、輸出企業の追い風となる見込みです。株価はこのところ景気刺激策への期待から反発してきましたが、引き続き歴史的に見ても他の先進国と比較しても、割安な水準にあります。今後の株価は中国経済や企業業績の中長期的な回復期待、相対的に高い成長力への評価などから、徐々に上昇基調へ戻るものと思われます。