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【デイリー No.1,775】中国のGDP成長率(10-12月期) ~2013年の政府目標を余裕をもって達成~

2014年1月21日

<ポイント>
●10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+7.7%、通年の成長率も+7.7%(目標は+7.5%)となりました。
●市場は前期比での成長ペースや12月単月での生産、投資の伸びがやや鈍化したことを嫌気しました。
●ただし、2013年は余裕をもって成長目標を達成しており、2014年も7%台での安定した成長が見込まれます。

1.年半ばに回復、年末にかけて勢いは若干鈍化

 中国では昨年7月、成長率が合理的な水準(前年比+7%がボトムラインと言及)を下回ることは容認しないと李首相が発言したことなどをきっかけに生産活動が活発化しました。しかし、回復を先取りした生産再開の反動や新規の投資計画の伸び悩みなどから、年末にかけては回復の勢いがやや緩やかになっていました。

2.2013年の政府目標を余裕をもって達成

 中国国家統計局が20日に発表した10-12月期の実質GDP成長率は、前年同期比+7.7%となりました。2013年通年の成長率も+7.7%と、政府目標である+7.5%を余裕をもって達成しました。
 ただし、10-12月期の成長率を前期比で見ると+1.8%と鈍化したほか、12月の生産、投資の伸びも11月から低下しており、発表後に本土や香港の株価指数はやや下落しました。
 特に1-12月累計の固定資産投資が前年同期比+19.6%と緩やかな鈍化を続けました。先行きの参考となる新規着工計画も同+14.2%と、加速感は見られず、緩やかな鈍化を続ける格好となりました。

3.今後の市場見通し

 近年、中国の成長は鈍化した一方、経済全体に対して消費の占める割合が増すなど、構造改革は徐々に進んでいます。2013年通年の名目GDPのうち、第3次産業の割合は46.1%と、第2次産業の43.9%を初めて上回りました。また、2013年の第3次産業の成長率は実質ベースで前年比+8.3%と、全体をけん引する分野になっています。
 また、2013年通年の一人当たり賃金(物価調整後)は農村部で前年同期比+9.3%、都市部で同+7.0%となりました。発展が課題である農村部でやや伸び悩みましたが、景気のけん引役である都市部では2013年4-6月期を底に賃金上昇ペースが回復しています。こうした高い賃金の伸びに加え、物価上昇ペースが2013年も前年比+2.6%と落ち着いて推移したことなどが、消費者の購買力を支えています。
 2014年前半の景気は、3月の全人代に向けて、政府の改革案や新規の投資案件がどの程度具体化するかなどに左右されそうです。なお、市場では2014年も総じて7%台での安定成長、利上げなどの金融引き締めの可能性は限定的で、人民元も緩やかな上昇が続くと見込む声が大勢です。株価は足元ではIPO再開による市場の需給悪化懸念などから下落していますが、歴史的に見ても他の先進国と比較しても割安な水準にあります。今後の株価は中国経済や企業業績の中長期的な回復期待、相対的に高い成長力への評価などから、徐々に上昇基調へ戻るものと思われます。