インドの経済・市場動向(2017年6月)
資金流入が続き、株式・債券とも堅調推移 【デイリー】
2017年6月21日
【ポイント1】消費者物価は過去最低水準
日経PMI総合は上昇
■17年5月の消費者物価指数は前年同月比+2.2%と、過去最低水準となりました。4月の同+3.0%から更に伸びが縮小し、市場予想(ブルームバーグ、同+2.4%)も下回りました。約4割のウェイトを占める食品の伸びが鈍化したことに加え、インドルピー高の影響を受けたと見られます。
■5月の日経PMI(購買担当者景気指数)総合は52.5と前月の51.3から上昇しました。景気判断の節目となる50を4カ月連続で上回り、景気の持ち直し傾向が続いています。

【ポイント2】金融政策は当面据え置き
緩和の可能性は低い
■足元のインフレはインド準備銀行(中央銀行、以下RBI)の目標中心値である+4%を下回っていますが、当面金融政策は据え置かれる見込みです。
■RBIは、6月の金融政策決定会合で物価見通しを下方修正しましたが、年後半に向けてインフレが加速していく見方を維持しており、金融緩和には踏み切らないと見られます。

【今後の展開】株式、債券ともに資金流入が続く
■EPFRグローバル社の投信マネーの動向によると、17年に入り、インドの株式市場と債券市場に資金が大量に流入しています。年初は高額紙幣の廃止による経済への影響が懸念され売り越しとなりましたが、3月のインド地方選挙でモディ首相の与党、インド人民党が圧勝し、経済改革の期待が高まったことで、資金流入が加速しました。足元も買い越し基調が続いています。
■インドの主要株価指数のSENSEXは、足元で過去最高値を更新し続けています。インド国債の10年債利回りは、一時の6.9%台から6.4%台に低下しています。7月に導入予定の物品サービス税(GST)など、経済改革が着実に進んでいることが評価されており、今後もインド市場への資金流入が続きそうです。