最近の指標から見る豪州(2016年8月)
景気の拡大、鉄鉱石価格の上昇が豪ドルの支援材料 【デイリー】
2016年8月19日
【ポイント1】景気は緩やかに拡大

物価上昇率は鈍化
■豪州景気は、緩やかな改善傾向を持続しています。7月の雇用統計では、雇用者数が前月比+2.6万人となりました。市場予想の+1.0万人を上回り、13年後半頃を底とする緩やかな増加トレンドを維持しました。雇用の回復を背景に、家計の支出も底堅く推移しています。
■一方、物価は落ち着いています。直近16年4-6月期の消費者物価上昇率(※)は、前年同期比+1.7%となりました。RBAの目標値同+2%~+3%の下限を下回った状況が続いています。
※豪州準備銀行(RBA)が注視しているトリム平均値で測った物価上昇率。トリム平均値は異常値をつけた項目を除いたもの。
【ポイント2】金融政策は緩和的

物価がRBAの目標に未達
■RBAは8月2日に政策金利を1.75%から1.50%に引き下げました。RBAは金融政策の最優先目標を、「雇用」から「物価」に変更したと見られますが、その物価が16年1-3月期、4-6月期と2四半期連続で目標値を下回ったためです。今後も住宅の供給増による住宅関連の価格下落などから、物価上昇率の低迷が予想されます。引き続き金融政策は、緩和的なスタンスがとられる見込みです。
【今後の展開】景気の拡大、鉄鉱石価格の上昇などが豪ドルの支援材料
■緩和的な金融政策にもかかわらず、豪ドルは対米ドルで緩やかな上昇トレンドを描いています。鉄鉱石や石炭などの資源価格上昇によるものです。要因として、中国の景気対策に対する期待感や、中国鉱山の減産などが指摘されています。
■RBAの金融政策は緩和的ですが、日銀のさらなる金融緩和観測も根強く、両国の金利差が急激に縮小する可能性は当面のところ低いと考えられます。資源価格の動向と考え合わせると、豪ドルの対円レートは目先、底堅く推移すると予想されます。