ホームマーケット日々のマーケットレポート香港の不動産市場 「利回り差」から見るとオフィスや商業施設に改善の兆し/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

香港の不動産市場
「利回り差」から見るとオフィスや商業施設に改善の兆し 【デイリー】

2016年6月10日

【ポイント1】不動産価格はピークアウト

金利上昇圧力の高まりが要因

■2008年のリーマンショック後、上昇傾向を続けてきた香港不動産市場は、15年年央から調整局面に転じました。今回の調整は、①人民元切り下げを背景とした中国・香港株の大幅下落、②15年12月の米国利上げや16年年初の中国金融市場の混乱、③香港経済の減速、などが要因です。

【ポイント2】オフィスや商業施設に改善の兆し

「利回り差」に注目

■不動産価格の調整具合を判断する指標として、「利回り差」に注目しました。「利回り差」は不動産利回りと長期金利の差です。「利回り差」と過去の平均値との比率を計算し、1を上回れば割安圏、下回れば割高圏としました。

■09年から11年半ばまでは比率が1を下回る局面でしたが、需要が強く、不動産市場は堅調でした。11年半ばから13年前半までは比率が1を上回り、「利回り差」が魅力となり、不動産市場は堅調でした。13年半ばから15年半ばは再び1を下回る局面でしたが、需要が強く堅調でした。

■15年半ば以降は、不動産価格が調整する中、比率が1を割り込みました。これは、今回の調整が、米国の利上げを警戒しているためで、「利回り差」が再び注目されているためと思われます。こうした中、オフィスが2月から、商業施設も3月から1を上回り始めています。「利回り差」から見ると、オフィスや商業施設に改善の兆しがうかがえます。

【今後の展開】米国の利上げの影響は限定的

■当面は米国の再利上げが注目されますが、極めて緩やかな利上げに留まると考えられ、利上げの影響は限定的と思われます。一方、オフィスは中国企業の需要が堅調さを保っており、商業施設は中国からの旅行者数の減少に歯止めがかかり始めています。こうした需要面の改善が、オフィスや商業施設の賃料を下支えすると期待されます。

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