最近の指標から見るインド経済(2016年5月)
景気は堅調、物価はモンスーンに注目【デイリー】
2016年5月27日
【ポイント1】生産は前月比プラスで推移

景況感も50台を維持
■16年3月の鉱工業生産指数は前年同月比+0.1%と、2カ月連続でプラスとなりましたが、伸びが鈍化しました。
■16年4月の製造業の景況感は50.5と前月の52.4から低下しましたが、好不況の境目である50を引き続き上回っています。足元の生産は若干鈍化しましたが、公務員の給与引き上げなどを背景に、内需は堅調に推移すると見られ、鉱工業生産の伸びは緩やかに高まると見込まれます。
物価上昇率は上昇

食品価格の上昇が寄与
■16年4月の消費者物価指数は前年同月比+5.4%と3カ月ぶりに上昇しました。食品価格の上昇が要因です。特に野菜は同+4.8%と前月の同+0.5%から大幅な上昇となりました。例年よりも気温が高かったことが影響しました。
■食品価格の動向は今後の物価を左右する重要な要素となりそうです。6-9月はモンスーン期ですが、降雨量が重要なカギを握りそうです。
【今後の展開】期待できる今年のモンスーン
■インドの民間気象予報機関(skymet)は5月24日に、モンスーン期の降雨量予測値を平年比+9%と前月(同+5%)より上方修正しました。モンスーン期に十分に雨が降れば、食品価格の上昇を背景とするインフレ率の加速を抑制できそうです。
■一方、公務員給与の引き上げに伴うインフレ懸念は依然残っています。ただ、インド準備銀行(RBI、中央銀行)は、4月に政策金利を引き下げたばかりであり、マクロ経済・金融情勢を見守るとしています。緩和策の効果を見極めるためにも、政策金利は現行の水準が維持される見通しです。