最近の指標から見る豪州経済(2016年5月)
緩やかな景気拡大:注目される7月の総選挙【デイリー】
2016年5月20日
【ポイント1】労働市場は緩やかに改善

家計セクターは底堅く推移
■2016年4月の雇用者数は前月比+1.1万人の増加となりました。雇用統計は月ごとの変動が激しいため、変動を均した政府公表のトレンド値を見ると、4月は同+0.4万人増でした。前月の同+0.8万人増からは鈍化しましたが、企業マインドが大底を打ち、改善基調にあることから、今後、雇用の勢いは再び強まる見込みです。一方、失業率は同横ばいの5.7%でした。
■雇用の改善を背景に、小売売上高は前年同月比+4%前後の伸びを維持しています。家計セクターは底堅く推移しています。
政策金利を引き下げ

物価上昇率の低下が理由
■16年1-3月期の消費者物価上昇率は、前年同期比+1.3%でした。前期の同+1.7%から鈍化し、豪州準備銀行(RBA)の目標である+2%~+3%の下限を下回った状態が続いています。
■インフレ率の低下を受けて、RBAは5月3日に政策金利を0.25%引き下げ、過去最低の1.75%としました。当面のところ政策金利は据え置かれると予想されますが、景気の動向次第では、追加緩和が実施される可能性のあることには注意が必要です。
【今後の展開】注目される総選挙と2016年度予算案
■ターンブル豪首相は、上下両院の解散・総選挙を表明しました。投票日は7月2日です。下院に加え上院でも、与党・保守連合による過半数の議席獲得が狙いです。両院同時選挙は87年以来29年ぶり。
■与党が勝利すれば、法人税減税、インフラ投資拡大などを盛り込んだ、2016年7月に始まる2016/17年度政府予算が成立します。そうなれば株価や豪ドルにも好影響を及ぼす見込みです。