2016年のインド経済の見通し 経済成長率は緩やかに加速【デイリー】
2015年12月25日
【ポイント1】成長率は緩やかに加速
金融緩和や構造改革で内需がけん引
■実質GDP成長率は、2016年度(16年4月~17年3月)も緩やかに加速する見込みです。インド準備銀行(RBI、中央銀行)によるこれまでの利下げ(2015年合計1.25%)や、モディ政権が進める経済構造改革(モディノミクス)などが下支えとなり、内需が景気をけん引する見込みです。
■インドは、GDPに占める輸出の割合が15%程度と比較的低く、中国をはじめとする新興国の景気減速の影響は限定的と見られます。

【ポイント2】RBIは金融緩和スタンス
当面は物価動向を慎重に見極め
■消費者物価上昇率は、原油価格の下落や野菜など食品価格の落ち着きから2015年7月に前年同月比+3.69%まで低下した後、上昇しています。RBIは、今後見込まれる公務員給与や年金の大幅引き上げ、野菜価格の値上がりなどによる物価押し上げを警戒しています。
■RBIは、物価が安定する環境が整えば、利下げするスタンスです。ただし、物価上昇率を2017年3月に年+5%に抑えたいとしており、当面は現行の政策を維持し、物価動向を見極めると見られます。

【今後の展開】モディノミクスは一部で足踏みも、今後景気への効果が期待される
■12月23日まで開催されていた冬季国会では、破産法が改正され、企業活動の環境整備が進みました。ただし、モディノミクスの目玉の物品・サービス税(GST)法案は成立せず、政府の目指す2016年4月のスタートはほぼ不可能になりました。
■GST法案は、他党も基本的な考えでは一致しており、後ずれしながらも最終的には成立する見込みです。モディ首相が2014年5月に就任以来、外国企業による投資は着実に増えており、モディノミクスの景気への効果は今後も期待できそうです。