最近の指標から見るインド経済(2015年10月) 物価が安定、景気は堅調に推移【デイリー】
2015年10月23日
【ポイント1】生産の拡大ペースが加速
利下げにより内需が堅調
■8月の鉱工業生産指数は前年同月比+6.4%(7月は同+4.1%)と拡大ペースが加速しています。内訳では耐久消費財が同+17.0%、資本財が同+21.8%となり内需の堅調さがうかがわれます。
■一方、9月の輸出は同▲24.3%と、昨年12月以来のマイナスが続きました。これまでの利下げにより内需が堅調で、外需の低迷を補っています。

【ポイント2】予想外の0.50%利下げ
物価安定を背景に利下げ前倒し
■9月の消費者物価指数は前年同月比+4.41%と前月(同+3.74%)から上昇したものの、引き続きインド準備銀行(中央銀行、RBI)の目標(年+6%、2016年1月)を大きく下回っています。昨年高騰した食品価格の落ち着きや、原油安などが物価安定の背景です。
■9月29日、RBIは市場予想を超える0.50%の利下げを実施し、政策金利を6.75%としました。物価の落ち着きを背景に、RBIは投資の活性化を狙い前倒しで利下げを実施したと説明しました。RBIは当面政策金利を据え置き、利下げ効果を見守る姿勢です。

【今後の展開】景気見通しのさらなる改善も期待され、ルピーの底堅さは続く見込み
■RBIは、政府による物流改革や農作物最低支持価格の抑制などが物価安定に寄与していると評価しています。物価は当面RBIの目標を下回る可能性が強まっており、さらなる利下げが可能との見方もあります。
■足元では、中銀による利下げが下支えとなり、景気が堅調に推移しています。一段の利下げ観測は、短期的にルピーに下押し圧力になる可能性がありますが、景気見通しのさらなる改善にもつながると期待され、ルピーの底堅さは続く見込みです。