最近の指標から見る豪州経済(2015年10月) 利下げ効果から緩やかな回復が継続【デイリー】
2015年10月20日
【ポイント1】9月の雇用は下振れ
企業の労働需要は堅調
■9月の雇用者数は前月比0.5万人の減少となりました。月ごとの振れを均すために、政府公表のトレンド値を見ても+1.2万人にとどまり、2015年2月から鈍化傾向にあります。一方、失業率は8月の6.22%から6.16%に小幅ながら低下しました。
■ただ、企業の景況感指数を見る限り、労働需要は引き続き堅調に推移しています。個人消費も、8月の小売売上高が前年比+4.5%と、前月の同+4.2%から加速し、順調な拡大を見せています。

【ポイント2】物価は低位で安定
政策金利は5会合連続据え置き
■4-6月期の消費者物価指数は、前期から伸び率が高まりました。ただ、水準は豪州準備銀行(RBA)の物価目標である+2%~+3%の下限を下回っています。今後も、賃金上昇率や原油価格が低位にあることから、安定的に推移する見込みです。
■RBAは、10月6日の会合で、政策金利を2.0%に据え置きました。5会合連続の据え置きです。緩やかな景気回復と低インフレの持続により、過去最低の政策金利は当面据え置かれそうです。

【今後の展開】景気は緩やかな回復が継続、豪ドルは徐々に底堅い推移へ
■景気は、緩やかな回復が継続する見通しです。輸出、設備投資は低迷しているものの、これまでの利下げの効果により民間消費、住宅投資が堅調に推移しているためです。
■インフレの低位安定を背景とした過去最低の低金利は、景気拡大の支援材料となる見込みです。
■豪ドルの対円レートは、豪州の景気回復の持続見通し等から、底堅い推移が予想されます。