最近の指標から見る豪州経済(2015年8月) 景気は内需が下支え、中国減速の影響は限定的【デイリー】
2015年8月26日
【ポイント1】消費は緩やかに加速
住宅市場の堅調さも続く
■小売売上高は、住宅市場が好調なことや雇用環境が概ね良好なことなどを背景に、緩やかに加速しています。
■住宅建設許可件数は、足元で伸びがやや鈍化傾向にあるものの緩和的な金融環境の中で拡大基調を維持しています。
■雇用環境は、失業率が足元で上昇しているものの、雇用者数が増加傾向にあり、良好な状況です。
■輸出は、中国向けが懸念されますが、豪ドル安で米国向けなどがけん引し、総じて底堅く推移しています。

【ポイント2】物価上昇率は低位で安定
政策金利は当面据え置き
■4-6月期の消費者物価指数は、前期から伸び率が上昇しました。原油・資源価格下落の影響が薄らいでいることや、豪ドル安が物価を押し上げていることなどが背景です。水準は、豪州準備銀行(RBA)の物価目標を下回っています。今後も、賃金上昇率や原油価格が低位にあることから、安定的に推移する見込みです。
■RBAは、8月4日の会合で、政策金利を過去最低の2.0%に据え置きました。RBAが従来から行ってきた豪ドル高へのけん制が後退していることや、緩やかな景気回復と低インフレが見込まれることから、政策金利は当面据え置きが見込まれます。

【今後の展開】消費と住宅投資が下支え、豪ドルは安定化へ
■景気は、設備投資の低迷を消費と住宅投資が下支えし、緩やかに回復する見込みです。雇用環境は、企業景況感の改善などから、良好な状況が持続しそうです。輸出は、豪ドル安から中国以外が拡大しそうです。
■政策金利が当面据え置かれる見込みや、中国の景気が政策対応により底割れが回避される見込みなどから、豪ドルの下押し圧力は徐々に緩和しそうです。
