最近の指標から見るインド経済(2015年6月) 利下げや構造改革により景気拡大が続く【デイリー】
2015年6月25日
【ポイント1】生産の拡大が継続
利下げや構造改革などが後押し
■4月の鉱工業生産指数は前年同月比+4.1%と、前月の同+2.5%から上昇しました。3カ月移動平均で見ると、このところ同+3%台で推移しています。
■4月分の内訳を見ると、資本財が同+11.1%と比較的高い伸びになり、消費財が同+3.1%とプラスに転じました(前月は同▲0.7%)。インド準備銀行(中央銀行、RBI)による利下げ、モディ政権の構造改革などを背景に、設備投資主導で生産の拡大が続いています。

【ポイント2】RBIは6月に利下げ
食品価格次第で追加利下げも
■5月の消費者物価指数は前年同月比+5.01%と、前月の同+4.87%から上昇しました。ただし、RBIの2016年1月の物価目標(同+6%)を引き続き下回っています。
■RBIは、6月2日の会合で政策金利(レポ金利)を0.25%引き下げ、7.25%としました。物価の落ち着き、米国の利上げが後ずれする可能性、投資や信用の伸びが弱く景気が力強さを欠く状況などから、利下げが適切と判断しました。
■RBIは、原油価格や天候による食品価格の動向などを追加利下げの重要なポイントとしています。足元で降雨量が順調に推移していることなどから、食品価格の安定と追加利下げへの期待が高まりつつあります。

【今後の展開】景気拡大と、構造改革進展への期待がインドルピーの下支えに
■利下げを受けて、ルピーは6月前半に米ドルや円に対して弱含みましたが、月半ば以降、持ち直しつつあります。物価の落ち着きと利下げによる景気拡大への期待が背景にあると思われます。
■次期国会(7月~8月)では、物品・サービス税(GST)導入や土地収用法などが審議される見込みです。これらの法案が成立すると、海外からの投資活性化、ルピー需要の拡大が期待されます。