トルコ中銀、3会合連続で政策金利を据え置き【デイリー】
2015年5月21日
【ポイント1】各種政策金利を据え置き
市場予想通りの決定
■トルコ中央銀行(以下、中銀)は20日、主要な政策金利である1週間物レポ金利を7.50%に、金利誘導レンジの上限金利を10.75%に、下限金利を7.25%に据え置くことを発表しました。
■各種政策金利の据え置きは3月の会合以来3会合連続で、市場予想通りの決定になりました。

【ポイント2】物価見通し改善を待つ姿勢
リラの安定が利下げのカギ
■中銀は、これまでの金融引き締め策により物価の基調が落ち着きつつあると見ています。ただし、当面についてはリラ安やエネルギー・食品価格の上昇による物価への影響を警戒しており、現行の高めの政策金利を維持することとしました。
■消費者物価指数の市場予想は、1年後に年+6.85%(4月は同+7.91%)と、中銀の物価目標(年+5.0%)を上回る見込みです。中銀は、物価見通しが顕著に改善するまで、現行の金融引き締めスタンスを維持する方針です。
■足元では米国の早期利上げ観測の後退などから、リラが回復基調にあります。リラが安定し、物価見通しが改善する場合には利下げが可能となり、景気拡大期待が強まると思われます。

【今後の展開】6月7日の総選挙を巡る不透明感は、リラの上値を抑える要因に
■トルコでは6月7日に総選挙が予定されています。市場では、比較的高い経済成長を実現してきた実績などから、与党公正発展党(AKP)の単独政権継続への期待が高い状況です。一方、AKP単独で憲法改正を議決できるほどの議席数(3分の2以上)を獲得することへの警戒も強い状況です。
■AKPは、エルドアン大統領の権限を強化するよう憲法改正を目指しています。同大統領による中銀の政策への介入懸念などから、市場は権限強化を警戒しています。総選挙が終了し、政治的不透明感が解消されれば、リラは底堅い展開になりそうです。