最近の指標から見る豪州経済(2015年5月) 消費や住宅投資が下支えし景気は底堅い推移へ【デイリー】
2015年5月15日
【ポイント1】消費は回復傾向
住宅市場は拡大、輸出に底入れ感
■小売売上高は、日用品や住宅ブームを背景として家具や家電の増勢が増し、伸び率が加速しました。消費は、ガソリン価格の低下による購買力の向上に加え、株価や住宅価格の上昇による資産効果もあり、緩やかな回復が見込まれます。
■住宅建設許可件数は、緩和的な金融環境のもとで拡大基調にあります。輸出は、足元で鉄鉱石など資源価格が上昇傾向にあることから、底入れ感が出ています。

【ポイント2】物価上昇率は底入れへ
利下げには打ち止め感
■昨年来の原油・資源価格の下落などから物価上昇率は低下傾向にありますが、足元で原油・資源価格が上昇しており、物価上昇率は今後上向く可能性が強まっています。
■豪州準備銀行(RBA)は、5月5日の金融政策会合で政策金利を0.25%ポイント引き下げ、過去最低の2.00%としました。声明文では、前回まであった「必要があれば景気下支えのため追加的な金融緩和を行う」とする文言が削除されたことから、利下げの打ち止め感が強まっています。

【今後の展開】今後のポイントは資源価格上昇の持続性や設備投資の持ち直し
■消費や住宅投資が下支えし、景気は底堅く推移する見込みです。今後の物価や景気回復のペースを見るポイントは、資源価格上昇の持続性や非鉱業部門での投資の持ち直しなどが考えられます。12日に政府が発表した予算案には、インフラ投資の拡大が盛り込まれました。こうした施策が景気を支えるか注目されます。
■物価上昇率が上向く可能性が強いことや消費と住宅市場が底堅さを維持すると見られることから、追加利下げ観測は後退しています。
■利下げ観測が後退していることや日銀の金融緩和が続くと見られることから、豪ドルは対円で底堅く推移する見込みです。
■底堅い景気を背景とした企業収益の拡大や高い配当利回りなどが魅力となり、株式やリートは上昇基調が続くことが期待されます。