豪州の2015年度連邦政府予算案 財政健全化路線を維持しながら成長重視へ【デイリー】
2015年5月14日
【ポイント1】経済成長を重視
中小企業支援やインフラ整備を推進
■豪州政府は12日、2015年度(2015年7月~2016年6月)の連邦政府予算案を発表しました。政府の支持率低迷の一因だった緊縮財政から経済成長重視へと舵を切る内容です。野党の反発にも配慮し、国民生活重視の施策も盛り込むことで、早期成立を目指す構えです。
■景気対策として、中小企業の法人税率引き下げや鉄道・道路・空港などインフラ整備向け支出拡大などが盛り込まれました。財政健全化路線を維持しながら、景気にも配慮した柔軟性のある予算案と評価する見方もあります。

【ポイント2】財政健全化路線は維持
成長率の前提は緩やかな加速
■予算案全体としては、歳出が前年度比+3.4%、歳入が同+5.5%とされました。財政収支の赤字はGDP比2.0%に低下(2014年度見込みは同2.5%)する計画です。
■財政赤字は、資源価格の下落や賃金上昇率の伸び悩みにより税収が下振れる見込みの一方、富裕層への年金支給額削減などにより財源が手当てされ、GDP比が低下するとされました。
■2015年度の経済成長率の前提は+2.75%と、前年度から緩やかに加速する見込みです。

【今後の展開】財政健全化路線の維持は、豪ドルと豪州国債の中長期的なプラス要因
■政府は中小企業向け支援策やインフラ整備に向けた施策の強化により、鉱業に依存しない幅広い分野での成長を目指しています。政府の成長見通しはやや楽観的との見方が多いものの、緩和的な金融環境の中、景気は内需主導で緩やかに回復すると見られます。
■豪ドルは、豪州準備銀行の利下げに打ち止め感が出ていることに加え、予算案の発表により景況感の改善が見込まれることなどから、底堅い推移が期待されます。
■景気が政府見通しを下回る場合には、税収不足を補う国債増発が見込まれ、国債利回りの上昇要因となる可能性もあります。ただし、債務格付けの高さや、中長期的に財政健全性が維持される見込みは、国債利回りの安定に貢献しそうです。