最近の指標から見るインド経済(2014年11月) 景気は企業景況感の改善などから底堅く推移【デイリー】
2014年11月18日
【ポイント1】生産は持ち直す
輸出は軟調に推移
■9月の鉱工業生産指数は前年同月比+2.5%となり前月(同+0.5%)から上昇しました。製造業の増加により上昇率が加速しました。
■10月の輸出は前年同月比▲5.0%となりました。輸出は、全体の約16%を占める欧州向けが低調なことから、軟調に推移しています。

【ポイント2】物価上昇率は低下
来年前半の利下げ観測が強まる
■10月の消費者物価指数は、前年同月比+5.52%と前月(同+6.46%)から大幅に低下しました。工業製品価格の落ち着きに加え、食品価格と燃料価格の上昇率が前月に続き低下したことが主な要因です。
■RBIは政策金利(レポレート)を今年1月に引き上げて以降8.0%に据え置いています。RBIは、物価上昇へ警戒的な姿勢を維持しているものの、足元での原油価格の下落などを受け金融引き締め姿勢を幾分和らげています。

【今後の展開】景気は企業景況感の改善や輸出の拡大を支えに底堅く推移する見込み
■経済政策への期待による企業景況感の改善や、世界経済の回復による緩やかな輸出の拡大を支えに景気は底堅い推移が見込まれます。
■物価上昇率は、原油価格の下落や通貨の安定などから、RBIの2015年1月の目標である8%以下を達成しそうです。RBIは、物価の落ち着きが 見込まれることから、2015年前半にも利下げに踏み切りそうです。
■ルピーは、日銀による追加金融緩和により、10月末以降対円で上昇基調を強めています。インドでは来年前半の利下げ観測が強まっているものの、日銀の強力な金融緩和が続く見込みであることから、ルピーは対円で底堅く推移しそうです。中長期的には、政府とRBIによる物価抑制策や経済構造改革、財政健全化が、国債の信用力を高めルピーの上昇要因と見られます。