最近の指標から見るインド経済(2014年10月) 景気は輸出に支えられ底堅い推移へ【デイリー】
2014年10月17日
【ポイント1】生産は伸び悩み
輸出は小幅に持ち直し
■8月の鉱工業生産指数は前年同月比+0.4%となり前月(同+0.4%)と同じでした。8月の生産は、振れの大きい製造業が減少し、電力と鉱業は増加しました。
■9月の輸出は同+2.7%と前月(同+2.4%)から小幅に上昇しました。輸出は小幅に持ち直したものの、輸出全体の約16%を占める欧州向けが伸び悩んでおり、全体に影響しています。

【ポイント2】物価上昇率は低下へ
政策金利は据え置き
■9月の消費者物価指数は、前年同月比+6.46%と前月(同+7.73%)から低下しました。食品価格と燃料価格の上昇率の低下が主な要因です。物価上昇率は、原油価格が足元で下落していることや、通貨の安定などから、当面インド準備銀行(中央銀行、RBI)の2015年1月の目標である8%を下回り推移しそうです。
■RBIは9月30日の金融政策会合で政策金利(レポレート)を8.0%に据え置きました。RBIは、物価の上昇に警戒的な姿勢を維持しつつも、物価上昇圧力は前回会合時に比べ和らいだと見ています。

【今後の展開】景気は輸出の緩やかな拡大に支えられ底堅い推移へ
■景気は、足元で生産が伸び悩むものの、米国経済の回復や中国経済の安定化による輸出の拡大に支えられ、緩やかな回復が見込まれます。
■物価上昇率は、原油価格の低下や政府とRBIによる物価抑制への取り組みなどから、RBIの目標に沿った推移が続きそうです。物価の緩やかな低下基調などから、RBIは政策金利を当面据え置き、2015年は利下げ観測が強まりそうです。
■政府とRBIによる物価抑制策や中長期的な経済構造改革、財政健全化は、国債の信用力を高めルピーの上昇要因と見られます。一方、RBIは為替介入などを通じて通貨の安定を目指しており、ルピーは対米ドルで変動の小さい推移となりそうです。