最近の指標から見るインド経済(2014年9月) 輸出に支えられ景気は底堅く推移【デイリー】
2014年9月19日
【ポイント1】生産は増加傾向を維持
輸出は外需改善により回復へ
■7月の鉱工業生産指数は、輸出の減速などにより前年同月比+0.5%と前月(同+3.9%、改定値)から伸びが鈍化しました。ただし、生産は前年比での増加を維持しています。
■8月の輸出は前年同月比+2.4%と前月(同+7.3%)から伸びが鈍化しました。宝石類や石油化学製品の輸出の低迷が主な要因です。今後は、外需の改善による回復が見込まれます。

【ポイント2】物価上昇率は緩やかな低下へ
政策金利は当面据え置き
■8月の消費者物価指数は、前年同月比+7.80%と前月(同+7.96%)から低下しました。物価を押し上げてきた農作物価格の上昇が鈍りました。工業製品などには落ち着きが見られます。
■インド準備銀行(中央銀行、以下RBI)は政策金利(レポレート)を今年1月以降、8.0%に据え置いています。RBIは、物価が緩やかに低下していることなどから、政策金利を当面据え置きそうです。

【今後の展開】景気は輸出の拡大に支えられ底堅く推移
■景気は、米国経済の回復や中国経済の安定化による輸出の拡大に支えられ、回復が見込まれます。
■物価上昇率は、原油価格の低下や政府とRBIによる物価抑制への取り組みなどから、RBIの目標に向けた低下が見込まれます。2015年中の利下げ観測が強まっており、企業の資金調達環境は改善が期待されます。
■政府とRBIによる物価抑制策や中長期的な経済の構造改革、財政の健全化は、国債の信用力を高めルピーの上昇要因と見られます。一方、RBIは為替介入などを通じて通貨の安定を目指していると見られることから、ルピーは対米ドルで変動の小さい推移となりそうです。