【デイリー No.1,917】トルコの金融政策(7月) ~政策金利の引き下げを継続~
2014年7月18日
<ポイント>
●トルコ中央銀行(以下、中銀)は17日、5月以降3カ月連続となる政策金利の引き下げを決定しました。
●中銀は1月に臨時の措置として大幅に引き上げた政策金利を正常化する過程にあると見られます。
●今後は物価上昇率が予想通りに低下するかを見極めながら、追加利下げを慎重に検討していく見込みです。
1.概ね市場予想通りの利下げ
中銀は17日に金融政策委員会を開催し、1週間物レポ金利を0.50%(8.75%→8.25%)、金利誘導目標レンジの下限金利を0.50%(8.00%→7.50%)、それぞれ引き下げることを決定しました。上限金利は12.00%に据え置きました。ブルームバーグの事前調査によると、大方のエコノミストが3つの政策金利について、いずれかが引き下げられると見ていました。今回の決定は、概ね市場予想通りの結果といえます。

2.物価上昇率低下予想などから金利水準を調整
中銀は今年1月、トルコリラの安定化などを狙い、各種政策金利を大幅に引き上げました。この措置は臨時の対応との意味合いが強く、中銀は5月以降、先行きの物価上昇率の低下見込みなどを背景に政策金利の水準を正常化する過程にあると見られます。
6月の消費者物価指数は前年同月比+9.16%と、前月の同+9.66%から低下しました。中銀は過去のトルコリラ安による物価上昇圧力は緩やかに薄らいでいくと見ています。また、内需が落ち着きつつあることも、物価上昇を和らげています。

3.今後の見通し
今回の利下げ後も、政策金利の水準は高い水準にあり、中銀は前回と同様に金融政策は引き締めスタンスにあることを強調し、物価見通しが顕著に改善するまで、そのスタンスを続ける考えを示しました。
中銀が7月14日に発表した市場関係者の12カ月後の物価予想は年+7.27%と、中銀の中長期的な物価目標(年+5.00%)を大きく上回っています。今後中銀は各種政策金利のさらなる引き下げについて、物価上昇率が予想通りに低下するか見極めながら、慎重に検討していくと見られます。