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【デイリー No.1,914】最近の指標から見るインド経済(2014年7月)

2014年7月16日

<ポイント>
●生産は持ち直しの兆しが見られ、物価上昇率は低下基調をやや強めています。
●インド準備銀行(以下、RBI)の物価目標の達成が視野に入り、市場では利下げ観測が強まりそうです。
●高金利、経常収支の改善傾向、RBIの金融制度改革などこれまでのルピー高要因に加え、財政収支の改善は国債の信用力を高め、中長期的なルピーの安定化要因となりそうです。

1.生産は持ち直し、物価は低下基調

①鉱工業生産
 5月の鉱工業生産指数は前年同月比+4.7%と、4月の同+3.4%から伸びが加速しました。財別に見ると内需関連の耐久消費財が同+3.2%(前月同▲7.8%)とプラスに転換したことから、内需には持ち直しの兆しが見られます。
 耐久消費財の生産は月毎の変動が大きいことに注意が必要ですが、生産は基調として持ち直しそうです。

②物価
 6月の消費者物価指数は、前年同月比+7.31%と前月(同+8.28%)から低下しました。6月の卸売物価指数は、同+5.43%と前月の同+6.01%から低下しました。これらは、食品や燃料など一次産品価格の低下が主な要因です。
 これまでの内需低迷や、ルピーの主要通貨に対する安定化などから、全体的に物価は低下基調をやや強めています。

2.利下げ観測が強まる

①金融政策
 政策金利(レポレート)は、1月の利上げ以降、直近の6月3日の会合まで2会合連続で8.0%に据え置かれました。物価は足元で低下基調をやや強めたことから、RBIの物価目標(15年1月に消費者物価指数の前年同月比上昇率を+8.0%)の達成が視野に入り、利下げ観測が強まりそうです。

②予算案を発表
 政権交代後に初めて発表された2014年度連邦政府予算案は、中長期的な経済成長と財政健全化を目指す内容となりました。課題とされてきたインフラ整備や製造業発展の実現などにより、2016年度以降の成長率は+7%~8%が目指されています。財政収支の赤字は2016年度に向けて、現状のGDP比4.5%(2013年度実績見込み)から3.0%へ低下させる方針です。

3.インドルピーの見通し

 ルピーは、海外と比較して高い金利水準や、貿易収支の改善傾向、RBIの金融制度改革などを背景に今年2月以降上昇傾向となりました。
 新政権による予算案は中長期的な経済成長と財政収支の改善を目指す内容となりました。財政の健全化は、国債の信用力を高めることから、ルピーの安定化要因と見られます。ただし、RBIは行き過ぎたルピー高を回避すると見られることから上値は抑えられ、ルピーは変動の小さい推移となりそうです。

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