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【デイリー No.1,905】豪ドルの最近の動向 ~年前半は堅調、底堅い推移が続く見込み~

2014年7月3日

<ポイント>
・今年前半の豪ドルは対円、対米ドルともに上昇しました。豪州景気は市場が予想した以上に堅調となりました。
・ただし、資源輸出や住宅市場の勢いの鈍化や、新年度の財政再建方針などは、上値を抑制する要因です。
・中長期では、金利差や豪ドル建て債券の高い信用力などへの評価から、豪ドルの底堅さは保たれそうです。

1.豪ドルは今年前半の景気上振れを好感

 今年前半の豪ドルは、対円、対米ドルともに上昇しました。
 豪州の政策金利は昨年8月の利下げ以降、2.5%の過去最低水準で据え置かれ、住宅市場が好調です。小売売上高や雇用など、国内の主要指標も春先から持ち直しました。
 また、資源輸出が伸び、景気を押し上げました。6月に発表された1-3月期GDPも前期比+1.1%(純輸出の寄与度は+1.4%分)と、堅調でした。

2.今年後半の資源輸出や住宅市場は鈍化か

 ただし、7月2日に発表された5月の貿易収支は19億ドルの赤字と、市場予想を大きく下回り、一段と悪化しました。これは、資源価格の急落などが要因です。鉄鉱石の1トン当たり価格は3月末に110ドル台でしたが、足元は90ドル台まで低下しました。最大の輸出先である中国が、構造改革のなか原材料輸入に慎重になっており、当面の鉄鉱石や石炭の価格、豪州の輸出額などを抑えそうです。
 住宅市場では、先行きの参考となる建設許可件数の伸びが前年比+10%台となっています。しかし、同+20~+30%だった昨年後半と比べると、ペースはやや緩やかになっています。

3.今後の見通し

 1-3月期の豪州景気は、市場や豪中銀の想定以上に堅調でした。ただし、今年後半は、住宅市場の底堅さが続くものの、輸出の弱含みなども想定されます。また、個人消費の伸びは、政府が7月からの新年度における財政再建路線を示しており(家計には増税)、やや抑えられそうです。2014年通年の成長ペースは、年+3%前後で落ち着くと見られます。
 豪中銀は、年前半の景気の堅調さを評価しつつも、なお不透明感が強いこと、短期の物価上昇圧力が一服し、向こう2年間は物価が誘導目標(年+2%~+3%)内で推移すると見られることなどから、政策金利を当面据え置きそうです。
 為替市場では、豪中銀が一旦は抑えていた通貨高へのけん制姿勢を強めることも想定され、上値が抑えられやすくなりそうです。しかし、ユーロ圏が追加の金融緩和に踏み込み、米国の低金利の長期化観測も浮上するなか、豪ドルは相対的な高金利による評価を受けやすい状況にあると思われます。
 また、中長期では緩やかな景気回復期待に加え、高めの金利水準、豪ドル建て債券の高い信用力などが支援材料となり、豪ドルの底堅さは今後も保たれそうです。

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