【デイリー No.1,902】アジア・オセアニア株式市場~株価は堅調に推移する見込み~
2014年6月30日
<ポイント>
・インドとインドネシアの景気の下振れ懸念は、足元で後退しているとみられます。経常収支、政治情勢が改善傾向にあることが主な要因です。
・企業業績は、輸出の持ち直しなどに支えられて、引き続き底堅く推移しそうです。
・株価は、企業業績の増加基調や株価純資産倍率などでみた割安感から、今後も堅調に推移しそうです。
1.インド、インドネシアの景気の下振れ懸念が後退、各国・地域の景気は輸出の持ち直しから回復の見込み
①経常収支と輸出~景気の回復要因~
アジア・オセアニア地域のなかで、自国経済に比較的不安材料を抱えるインド、インドネシアの景気の下振れ懸念は、足元で後退しているとみられます。両国の経常収支は、輸入抑制策や内需の減速を受けて改善傾向にあります。また、両国のインフレ率は、天候要因に影響されながらも利上げの効果などから低下しそうです。
域内各国・地域(以下、各国)の輸出は、2012年以降底這いが続いています。主要輸出相手国の景気を見ると、米国は2015年にかけて成長率が加速する見込みです。また、中国経済は、今年4月下旬以降、金融緩和やインフラ投資などによる断続的な景気支援策が発表されていることから、安定化が見込まれます。こうしたことから、各国の景気は、輸出の持ち直しを受けて概ね回復が見込まれます。
②政治情勢~経済の活発化要因~
インドの直近の総選挙で経済政策を重視するインド人民党が勝利したことや、インドネシアの7月の大統領選挙で経済政策に評判の高いジョコ・ウィドド候補の当選が有望視されていることは、経済構造改革による両国の中長期的な成長期待を高めそうです。また、2月以降政治の混乱が続いていたタイでは、5月の軍事政権への移行は比較的冷静に受けとめられており、政権移行に伴う経済活動への影響は限定的にとどまりそうです。
政治情勢の変化を受けて、インド、インドネシアの経済活動は活発化が期待され、タイの経済活動は、心理の悪化などによる一層の下振れが回避されそうです。

2.企業業績は底堅く推移する見込み
アジア・オセアニア市場の企業業績※は、2012年以降緩やかな増加基調が続いています。企業業績は、輸出の持ち直しなどに支えられて、今後も底堅く推移しそうです。
※ MSCI AC Asia Pacific(除く日本)株価指数ベースの利益。

3.今後の市場見通し
アジア・オセアニアの株式市場は、企業業績や株価純資産倍率(PBR)などからみた割安感から、今後も堅調に推移しそうです。企業業績の拡大を背景に配当の増加が見込まれ、先進国市場に比べて高めの配当利回りにも注目が集まりそうです。
また、アジア・オセアニア地域の多くの国・地域の内需には全般に底堅さがみられるなかで、自国経済の不安材料を抱えるインド、インドネシアでも景気の下振れ懸念が後退していることは、当面両国の株価のサポート材料となりそうです。