【デイリー No.1,899】トルコの金融政策(6月) ~主要な政策金利を引き下げ~
2014年6月25日
<ポイント>
●トルコ中央銀行(以下、中銀)は24日、1週間物レポ金利を0.75%引き下げ、8.75%とすることを決定しました。
●中銀は物価見通しが顕著に改善するまで、現行の金融引き締めスタンスを維持する見込みです。今後は、物価上昇率が予想通りに低下するか見極めながら、追加利下げを慎重に検討していくと見られます。
1.政策金利の引き下げ幅は予想を上回る
中銀は24日に金融政策委員会を開催し、主要な政策金利である1週間物レポ金利を0.75%引き下げ、8.75%とすることを決定しました。5月に0.50%引き下げて後、2会合連続の利下げです。
ブルームバーグの事前調査によると、1週間物レポ金利については23名のエコノミストのうち21名が0.50%の利下げを予想(1名が据え置き、1名が0.75%の利下げを予想)しており、大方の予想を上回る利下げ幅となりました。

2.物価上昇率低下予想などから金利水準を調整
中銀は1月下旬、アルゼンチンペソの大幅な下落をきっかけとしたトルコリラの急落を抑制する目的などから、各種政策金利を大幅に引き上げました。中銀は、そうした金融引き締め策の影響などから足元で国内需要は落ち着きつつあり、物価上昇圧力は和らいでいると見ています。加えて、2013年半ば以降のリラ安による物価押し上げ効果が今後薄らぐこともあり、物価上昇率は今月以降低下するとの予想も示しました。
中銀はまた、外需の回復による輸出の拡大などから、経常収支の赤字は顕著に縮小すると見ています。欧米の金融緩和策を背景に海外からの資本流入の安定化が期待されることもあり、現状は市場の安定化を狙った臨時措置としての政策金利の水準を調整する過程にあると思われます。

3.今後の見通し
今回の利下げ後も政策金利の水準は他国と比較して高い水準にあります。中銀は前回と同様に、金融政策は引き締めスタンスにあることを強調し、物価見通しが顕著に改善するまで、そのスタンスを続ける考えを示しました。
消費者物価指数は5月が前年同月比+9.66%と高止まりしていることに加え、中銀が6月14日に発表した市場関係者の12カ月後の予想は同+7.19%と、いずれも中銀の中長期的な物価目標(年+5.00%)を大きく上回っています。今後中銀は各種政策金利のさらなる引き下げについて、物価上昇率が予想通りに低下するか見極めながら、慎重に検討していくと見られます。