【デイリー No.1,888】トルコのGDP成長率(1-3月期) ~前期から小幅に低下~
2014年6月11日
<ポイント>
●1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.3%と、前期(同+4.4%)から小幅に低下しました。
●利上げの影響などから民間需要が低迷した一方、政府支出と純輸出が全体を下支えしました。
●高金利政策が続くとの見通しは、リラの下支え要因になる一方、景気の先行き不透明感にもつながることから、リラは当面方向感のない展開となりそうです。
1.民間消費と投資は低迷、政府支出と純輸出が下支え
1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.3%となり、市場予想(同+4.2%)を上回りましたが、前期の同+4.4%から小幅に低下しました。
需要項目別に見ると、全体の7割近くを占める民間消費が、同+2.9%と前期の同+5.3%から低下しました。また、設備投資は同部門の約84%を占める民間部門がマイナスとなった影響から同▲0.5%(前期は同+6.4%)となりました。一方、政府消費が同+8.6%(前期は同+6.8%)と加速しました。また、輸出が同+11.4%(前期は同▲1.5%)と大きく伸びた一方、輸入が同+0.8%と減速(前期は同+9.3%)し、純輸出は全体の成長にプラスに寄与しました。

2.利下げによる景気支援には物価見通しの改善が必要
トルコ中央銀行(以下、中銀)はリラ安抑制などを目的に、1月下旬に各種政策金利を大幅に引き上げました。高金利により民間の消費や投資が低迷し、輸入の減速にもつながったと見られます。
その後、リラや国債利回りが安定的に推移してきたことなどを受けて、中銀は5月22日に1週間物レポ金利を0.5%引き下げ、9.5%としました。ただし同時に中銀は、物価見通しが顕著に改善するまで、金融引き締めスタンスを続ける方針も示しました。
5月の消費者物価指数は、前年同月比+9.66%と中銀の中長期的な物価目標(年+5.00%)を大きく上回っています。中銀の積極的な利下げが当面期待しづらいことなどから、景気は今後減速する可能性があります。
3.市場見通し
高金利政策が続くとの見通しは、リラの下支え要因になる一方、景気の先行き不透明感にもつながることから、リラは当面方向感のない展開となりそうです。ただし、輸入の低迷と輸出の拡大により、経常収支の赤字縮小期待が中長期的なリラの下支え要因になりそうです。輸出は全体の約4割がEU向けであり、欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和策を受けて同地域の景気回復期待が強まれば、トルコの景況感改善にもつながり、リラは中長期的には堅調な推移に向かうと思われます。
