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【デイリー No.1,882】オーストラリアのGDP成長率(1-3月期) ~予想を上回る成長、資源部門がけん引~

2014年6月4日

<ポイント>
・1-3月期の実質GDP成長率は前期比+1.1%、前年同期比+3.5%と、ともに前期を大きく上回りました。
・内需がやや低調ななかでも成長ペースが加速したのは、資源輸出の増加が成長を押し上げたためです。
・年後半は財政緊縮などが成長を抑え、RBAは当面、政策金利を過去最低の現水準で据え置きそうです。

1.前期比、前年同期比ともに大きく上昇

 1-3月期の実質GDP成長率は前期比+1.1%、前年同期比では+3.5%となりました。それぞれ市場予想の同+0.9%、同+3.2%を上回り、2013年10-12月期も大きく上回りました。

2.純輸出が押し上げ要因

 前期比の内訳を見ると、輸出が1.1%分の押し上げ要因となりました(輸入も加味した「純輸出」では1.4%分の押し上げ)。中国鉄鋼業向けの輸出が伸び、輸出全体としても好調でした。
 内需の成長率への寄与は限定的でしたが、底堅さが見られました。個人消費は前期比+0.5%と、GDPを0.3%分押し上げました。また、民間の固定資本形成は前期比+1.0%と、3四半期ぶりのプラス成長となり、GDPを0.2%分押し上げました。
 ただし、豪州は財政緊縮方針を維持していることもあり、政府による消費や固定資本形成は低調でした。

3.今後の市場見通し

 今回のGDPの大幅な伸びは、純輸出によるものです。豪州では成長の大半を資源部門が担う構図が続いています。足元では、新興国の資源需要が底堅いことに加え、資源部門の供給力の増強もあり、当面は資源輸出が豪州の景気を支えると見られます。
 ただし、7月から豪州が新年度に入ることに伴い、先月発表された一段の財政緊縮が政府の消費・投資を抑え、成長の重石となりそうです。また、今回は持ち直した民間の固定資本形成も、住宅部分を除けば、寄与度はほぼゼロとなります。住宅ブームがどの程度続くかは、個人消費の伸びとも密接に関わるため、今後の動向が注目されます。
 総じて、豪州景気は内需の伸びが緩やかに留まっているものの、外需の下支えを受け、今後も底堅く推移しそうです。豪中銀は景気と物価の双方に配慮し、当面は、政策金利を過去最低である現水準(2.5%)で据え置くと思われます。
 債券市場では、景気が緩やかな回復基調にあるため、債券利回りには緩やかな上昇圧力がかかると見られます。ただし、相対的に高い金利水準や信用力が豪州債券への需要を支えており、債券価格は今後も一進一退となりそうです。
 為替市場では、景気が底堅いため、豪ドルには上昇圧力がかかる一方、RBAの豪ドル高に対するけん制姿勢は残ることから、当面は方向感が出にくいと見られます。対円では日銀の強力な金融緩和策もあり、底堅く推移しそうです。中長期では、相対的に高い金利水準、豪ドル建て債券の高い信用力、中国景気の高めの成長などが下支え材料となり、豪ドルの底堅さは維持されそうです。

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