【デイリー No.1,880】オーストラリアの金融政策(6月)~政策金利を据え置き~
2014年6月3日
<ポイント>
・豪中銀(以下、RBA)は市場の予想通りに、政策金利を過去最低水準の2.50%で据え置きました。
・賃金上昇が鈍化し、今後2年間の物価上昇率は年+2~+3%の中銀目標に合致するとの見方が示されました。
・RBAは、経済の下支えのため豪ドル高をけん制する姿勢をしばらく続けると思われます。
1.政策金利を据え置き
RBAが3日公表した声明では、金利をしばらく安定させることが適切との方針を維持したほか、今後2年間の物価上昇率は年+2~+3%の目標と合致するとの見解が示されました。また、豪ドルについては、資源価格の下落などを踏まえれば高い、と言及し、豪ドル高をけん制しました。

2.底堅い国内経済
RBAは、最近発表の経済指標を受け、経済は底堅く推移していると見ています。労働市場は、4月の雇用者数が前月比+1.4万人と増加するなど改善が見られます。消費は、4月の小売売上高が前年同月比+5.7%と高い伸びを維持し、底堅く推移しています。住宅市場は、4月の住宅着工許可件数が同+1.1%(前月は同+20.9%)に低下したものの、拡大基調は維持していると見られます。一方、資源価格が下落基調にあることは輸出額の縮小要因と見られ、外需の回復は緩慢となりそうです。
3.今後の市場見通し
2014年通年の実質GDP成長率は、年+3%をやや下回る程度と市場では予想されています。労働市場は改善が見られるものの賃金上昇は鈍化していることから物価上昇率には落ち着きが見られ、RBAは政策金利を当面据え置くと思われます。また、経済の下支えのため、RBAは豪ドル高をけん制する姿勢をしばらく続けると思われます。
債券市場では、景気が緩やかな回復基調にあるため、債券利回りには緩やかな上昇圧力がかかると見られます。ただし、相対的に高い金利水準や信用力が豪州債券への需要を支えており、債券価格は今後も一進一退となりそうです。
為替市場では、景気が底堅いため、豪ドルには上昇圧力がかかる一方、RBAの豪ドル高に対するけん制姿勢は残ることから、当面は方向感が出にくいと見られます。対円では日銀の強力な金融緩和策もあり底堅く推移しそうです。中長期では、相対的に高い金利水準、豪ドル建て債券の高い信用力、中国景気の高めの成長などが下支え材料となり、豪ドルの底堅さは維持されそうです。