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【デイリー No.1,872】タイで発生したクーデターと市場の動き~不透明感が継続~

2014年5月23日

<ポイント>
・現地22日夕刻に、タイ陸軍のプラユット司令官はテレビ演説で、軍がタイの全権を掌握したと発表しました。
・発表を受けた市場の反応は、通貨、株式市場とともに限定的でした。
・市場への短期的な影響は限定的と見られますが、政治情勢は依然として不透明感があり注視が必要です。

1.戒厳令からクーデターに発展

 現地22日夕刻に、タイ陸軍のプラユット司令官はテレビ演説で軍がタイの全権を掌握したと発表しました。今月7日にインラック首相が失職し、20日には軍が全土へ戒厳令を発するなど、政治情勢は緊張が高まっていました。
 発表では軍と警察による「国家平和秩序維持評議会」が統治の全権を握ったとされ、インラック元首相の失職後に就任したニワットタムロン首相代行に代わり当面の首相の職務はプラユット司令官が代行し、次期首相が選出されると見られます。

2.市場への短期的な影響は限定的も不透明感は残る

 22日の報道直後から、一時バーツは対米ドルで前日比▲0.3%と下落しましたが、23日は小幅な上昇に転じるなど、足元までの影響は限定的です。タイの代表的な株価指数(SET指数)は、22日は前日比+0.16%と上昇し、23日は朝方前日比▲1.8%程度まで下落後、下げ幅を縮小させています(日本時間午後2時45分現在)。
 今後の体制移行が不透明なことで、為替市場ではバーツが下落するなどリスクを回避しようとする動きが若干見られました。しかし、これまでの首相失職や戒厳令に際しても市場は冷静であり、今のところ、周辺国の株価指数や為替レートには大きな影響は見られません。2006年9月にもクーデターが発生しており、前回までの経験から国内に大きな動揺はこれまでのところ発生していないようです。

3.今後の市場見通し

 2006年9月に発生したクーデターに際しては、3カ月後に外国資本規制が発表されるなど、市場で混乱も見られました。今回はそのような事態は今のところ想定されませんが、経済への短期的な影響として、夜間外出禁止令が出されたことで、小売業や工場の夜間業務への影響などが考えられます。また、前回までの例からは、経済全体への影響は限定的となりそうですが、政治、経済の正常化には時間がかかり不透明感は残りそうです。
 タイの株式市場は、底堅い景気を背景に上昇傾向にありました。今回のクーデター発生はある程度予想されていたとの見方や、政治面での膠着状態の終了が近づいたと前向きにとらえる見方もあります。一方、政治の空白期間が長引くことで投資などへの悪影響が考えられ、引き続きタイ国内の政治体制の移行や経済情勢への影響などを注視する必要があります。

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