【デイリー No.1,852】タイの金融政策(4月)~政策金利を据え置き~
2014年4月24日
<ポイント>
・タイ中央銀行(以下、中銀)は大方の市場予想通りに、政策金利を2.0%で据え置きました。
・政治情勢の混迷により内需は減速しており一部に利下げも予想されていましたが、輸出の回復と物価の上昇が見込まれることから今回据え置きに至ったと見られます。
・中銀は政治情勢を注視しつつ、当面は現行の緩和的な政策金利水準を維持し景気を支えると思われます。
1.政策金利を2.0%に据え置き
中銀は23日、政策金利を2.0%に据え置くことを決定しました。3月に政策金利を0.25%引き下げた後の据え置きです。声明文では、政治情勢は経済の下押しリスクとしながらも、インフレ率が上昇し、輸出は回復しているとの見方を示しました。
3月の消費者物価指数(生鮮食品とエネルギーを除く)は前年同月比+1.3%となり、中銀の目標レンジ(+0.5%~+3.0%)で緩やかに上昇しています。3月の輸出は前年同月比+2.4%と2月の同▲2.0%からプラスに転じました。

2.政治情勢は引き続き不安定
憲法裁判所は、2月2日の下院総選挙に違憲判決を下し無効としました。再選挙の実施は早くても今年8月と見られます。反政府デモ隊などの活動は継続しています。インラック首相は憲法裁判所の判断により失職する可能性があり、政治情勢は引き続き不安定です。
3.今後の市場見通し
今回の政策金利の据え置きは、大方の市場予想通りの決定であり、市場に与えた影響は限定的でした。輸出の改善が見込まれることなどから、中銀は政治情勢を注視しながら、引き続き現行の政策金利を維持すると思われます。
タイの株式市場は、内需の減速に際しても、今年初めから堅調に推移しています。政治情勢の混迷をタイの人々は幾度も経験していることなどから、企業活動への影響は限定的と見られます。また、外国人訪問者数が減少して悪影響が出た観光産業を配慮し、政府は3月19日に非常事態宣言を解除し、4月30日までの期間に規制が軽度の治安維持法に移行しました。加えてインフラ整備計画も動きはじめるなど政策面でのサポートも期待され、外需に改善が見込まれることからも市場は今後も底堅く推移すると思われます。