ホームマーケット日々のマーケットレポート【デイリー No.1,847】最近の指標から見るインド経済(2014年4月)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【デイリー No.1,847】最近の指標から見るインド経済(2014年4月)

2014年4月17日

<ポイント>
●景気低迷の一方、足元で物価上昇率が反発し、インド準備銀行(中央銀行、RBI)が次回会合(6月3日)で追加利上げを実施する可能性が再浮上しています。
●インドルピーは、高金利と景気低迷といった強弱両方の要因に影響を受け、当面方向感のない展開となりそうです。また、利上げ観測や政治情勢の変化などは、短期的なルピーの変動要因として注意が必要です。

1.景気の低迷が続く見込み

①鉱工業生産
 2月の鉱工業生産指数は前年同月比▲1.9%と、1月の同+0.8%(改定値)からマイナスに転じました。内訳を見ると、資本財が同▲17.4%、消費財が同▲4.5%となり、それぞれ前月からマイナス幅が拡大しました。1月までの利上げの影響などから、内需は勢いを欠く状況にあります。

②貿易収支
 3月の輸出は前年同月比▲3.2%と、2月に続きマイナスになりました。中国など新興国の景気減速などから、輸出も低迷が続く可能性があります。
 同月の輸入は同▲2.1%と、前月からマイナス幅が縮小しました。貿易収支の赤字額は同+1.0%と、小幅に増加しましたが、直近10カ月程度の赤字額は概ね安定的に推移しています。
 内需の弱い状況や金の輸入規制の影響などから輸入は今後も減少傾向と見られますが、輸出が低迷していることから、貿易赤字が拡大する可能性には注意が必要と思われます。

2.追加利上げの可能性が再浮上

①卸売物価指数、消費者物価指数
 3月の卸売物価指数は前年同月比+5.70%と前月(同+4.68%)から上昇しました。また、消費者物価指数は2月に同+8.03%(改定値)と、2012年1月(同+7.65%)以来の低水準となっていましたが、3月は同+8.31%と上昇しました。
 物価上昇率は、昨年12月から3カ月続いた低下傾向がいずれも反転した格好となりました。今後も天候の改善が見込まれないなか、物価上昇率の低下は進みにくいとの指摘があります。

②金融政策
 RBIは4月1日、インフレを警戒する一方、物価上昇率の低下も考慮し、政策金利(レポ金利)を8.0%に据え置きました。また、RBIは今後も物価上昇率が目標に沿って落ち着いていく場合には利上げは当面予想されないとしました。
 ただし、その後発表された物価上昇率が反発したことにより、足元では追加利上げの可能性が再浮上しています。

3.インドルピーの見通し

利上げ観測や政治情勢が短期的な波乱材料
 インドルピーは、高金利、経常収支の改善、RBIの金融制度改革姿勢などを背景に2月以降上昇傾向となりました。
 ただし、直近は景気への懸念などがルピーの上値を抑えており、ルピーは当面方向感のない展開となりそうです。
 足元では総選挙(4月7日~5月12日)が実施されています。政権交代により経済構造改革が進むとの期待が強い一方、連立での新政権となり、政策調整が難航するとの予想もあります。短期的には、利上げ観測や政治情勢の変化などにより、ルピーの変動が大きくなる可能性があります。

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