【デイリー No.1,834】オーストラリアの金融政策(4月) ~政策金利を据え置き、最近の豪ドル上昇へのけん制も控えめ~
2014年4月1日
<ポイント>
・豪中銀(以下、RBA)は市場予想通りに、政策金利を過去最低水準の2.50%で据え置きました。
・経済指標の改善などから豪ドルが上昇してきましたが、RBAは為替へのけん制を控えめなものに留めました。
・豪州の成長ペースはやや低調なものが続き、豪ドルは上値が抑えられやすいものの、底堅さを維持しそうです。
1.金利据え置き、豪ドル上昇へのけん制も控えめ
RBAは1日、市場予想通りに政策金利を2.50%の過去最低水準で据え置くことを決定しました。声明では、金利をしばらく安定させることが適切との方針を維持したほか、向こう2年間の物価は年+2~3%の目標と合致するとの見解が示されました。
また、経済指標の改善などを背景に豪ドルが再び上昇するなか、RBAの見解が注目されましたが、RBAは歴史的に見ればなお高いと言及するに留め、強いけん制は控えました。
2.RBAは住宅市場の動向を一段と注視
豪州国内の経済指標が改善してきた背景には、住宅価格や株価の上昇による資産効果の影響が大きいと思われます。特に住宅市場は低金利の恩恵を受けており、住宅価格は昨年10-12月期まで前期比、前年同期比とも、5四半期連続で上昇しました。
市場全体に先行する住宅建設許可件数は、1月に前年同月比+34.6%と大きく増加し、先行きの明るさをうかがわせています。住宅価格がなお上昇するとの期待は強いものと思われます。
一方、景気回復が緩やかで、雇用情勢などが悪化するなかでも住宅価格の上昇が続き、物価を押し上げる懸念があります。こうしたことから、RBAは住宅市場を注視しています。
3.今後の市場見通し
住宅市場や資源輸出の回復はあるものの、2014年通年の実質GDP成長率は、年+3%をやや下回ると見られます。RBAはしばらくの間、政策金利を据え置きそうです。
債券市場では、景気が緩やかな回復基調にあるとの見方を背景に、債券価格の上値は抑えられています。ただし、相対的に高い金利水準や信用力が豪州債券への需要を支えており、債券価格は今後も一進一退となりそうです。
為替市場では、仮に豪ドルが一段高となれば、昨年半ばのようにRBAがけん制姿勢を強める可能性も高まり、上値は抑えられやすいと思われます。中長期では、緩やかな景気回復期待に加え、相対的に高い金利水準、豪ドル建て債券の高い信用力、主要な貿易相手である中国景気の高めの成長などが下支え材料となり、豪ドルの底堅さは維持されそうです。