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【デイリー No.1,821】豪ドルの最近の動向 ~徐々に底堅さ、中銀の通貨高けん制も和らぐ~

2014年3月12日

<ポイント>
・豪ドルは対円、対米ドルで底堅さを増しています。景気減速が一服し、利下げ観測が後退したことが背景です。
・このところ物価上昇がやや加速し、豪中銀(以下、RBA)による通貨高への強いけん制姿勢は和らいでいます。
・豪州景気はやや低調ですが、金利差や債券の高い信用力などの評価から豪ドルの底堅さは保たれそうです。

1.追加利下げ観測後退などから、豪ドルは底堅い

 豪ドルは1月後半以降、対円、対ドルともに底堅く推移しています。新興国通貨への懸念が一旦和らいだほか、昨年後半から豪州の景気減速が一服し、追加利下げ観測が徐々に後退してきたことなどが、その背景です。
 従来から、日米欧との金利差、豪ドル建て債券の信用力、豊富な天然資源、良好な人口動態など、中長期の好材料を評価する声が多く、景気減速の一服などを機にこれらが再評価されたことも底堅さにつながっていると思われます。

2.RBAの通貨高けん制は和らぐ

 豪州では、このところの物価上昇も、追加利下げ観測の後退、ひいては豪ドルの底堅さにつながる一因となっています。RBAは短期的に物価が上昇することを警戒しており、通貨高への強いけん制姿勢は和らいでいます。
 昨年の豪ドル安は資源輸出の増加につながった一方、輸入物価を押し上げました。また、過去最低の金利水準は住宅販売を後押ししていますが、住宅価格上昇によって物価が押し上げられやすくなっています。
 なお、住宅価格(8都市ベース)は昨年10-12月期に前年同期比+9.3%となりました。シドニーでは同+13.8%となるなど、好調さがうかがわれます。住宅価格の大幅上昇は、物価だけでなく、資産効果によって消費意欲も高めます。

3.今後の見通し

 豪州景気は、1月の建設許可件数が前年同月比+34.6%の大幅増となったことなどから見ても、しばらくは住宅部門に支えられそうです。ただし、景気を昨年までけん引してきた資源部門の投資ブームはピークを過ぎており、景気がやや低調なことには変わりありません。こうしたなか、雇用情勢は弱含んでおり、失業率の上昇も続きそうです。資源輸出は引き続き豪州景気を支えると思われますが、輸出量・価格が新興国景気の影響を受けやすいことに注意が必要です。
 為替市場では、経済のけん引役だった資源部門の投資ブームが一服して以降、豪ドルの上値は抑えられやすくなって います。ただし、足元では新興国懸念が一旦収まったほか、豪中銀の通貨高けん制も和らぎ、豪ドル円相場は持ち直してきました。今後も緩やかな景気回復期待に加え、高めの金利水準、豪ドル建て債券の高い信用力などが下支え材料となり、豪ドルの底堅さは保たれそうです。

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