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【デイリー No.1,815】オーストラリアのGDP成長率(10-12月期) ~予想比上振れ、個人消費と輸出が寄与~

2014年3月5日

<ポイント>
・10-12月期の実質GDP成長率は前期比+0.8%、前年同期比+2.8%と、ともに7-9月期を上回りました。
・成長ペースが加速したのは、民間の設備投資の不調を個人消費や純輸出がカバーしたためです。
・個人消費や輸出の好調さが続くかは慎重に見る必要があり、当面の成長は年+3%をやや下回りそうです。

1.前期比、前年同期比ともに上昇、予想からも上振れ

 10-12月期の実質GDP成長率は前期比+0.8%、前年同期比では+2.8%となりました。それぞれ市場予想の同+0.7%、同+2.5%を上回り、成長ペースは7-9月期から若干加速しました。

2.設備投資の不調を、個人消費や純輸出がカバー

 前期比の内訳を見ると、資源部門の投資ブームが一服するなか、民間の設備投資が振るわず、民間固定資産投資は前期比▲2.3%となって、GDPを0.5%分押し下げました。
 一方、政権交代や豪中銀の追加利下げで景況感が好転したこともあり、個人消費は前期比+0.8%となって、0.4%分の押し上げ材料となりました。また、年末にかけて中国向けの鉄鉱石・石炭輸出が堅調だったこともあり、輸出も0.5%分の押し上げ要因となりました(輸入も加味した純輸出では0.6%分の押し上げ)。

3.今後の市場見通し

 輸出、個人消費という二つの追い風の背景には、新興国の資源需要、過去数次にわたる利下げを背景とした住宅価格上昇などが挙げられ、今後も豪州景気を支えそうです。
 ただし、豪中銀の判断の目安と見られる年+3%成長を早い段階で達成できるかは、なお慎重に見る必要がありそうです。特に輸出入の動向は振れも大きいほか、年初以降は中国の鉄鋼業の在庫積み増し意欲も昨年末ほどでは無くなっています。
 また、足元は堅調な個人消費も、雇用情勢の弱含みが懸念されるなか、住宅価格上昇に頼ったものとなっていないか、もうしばらく慎重に見る必要がありそうです。民間集計の消費者信頼感指数などは年初以降、むしろ低下しています。
 総じて、豪州景気は回復を続けるものの、資源に頼った成長からの転換には時間を要しそうです。景気はやや低調ですが、豪中銀は昨年半ばの豪ドル下落による物価上昇圧力に配慮し、当面、政策金利を現行水準で据え置く姿勢です。
 債券市場では、景気が緩やかな回復基調にあるとの見方を背景に、債券価格の上値は抑えられています。ただし、相対的に高い金利水準や信用力が豪州債券への需要を支えており、債券価格は今後も一進一退となりそうです。
 為替市場では、経済のけん引役だった資源部門の投資ブームが一服して以降、豪ドルの上値は抑えられやすくなっています。ただし、足元では新興国懸念が一旦収まり、豪ドル円相場も持ち直してきました。今後も緩やかな景気回復期待に加え、高めの金利水準、豪ドル建て債券の高い信用力などが下支え材料となり、豪ドルの底堅さは保たれそうです。

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